若くてかわいくなきゃ愛されないわけ② アメリカン・ビューティー

 こんにちは、蜜です! 前回に引き続き、アメリカン・ビューティーについて書いていきたいと思います。前回は主人公・レスター(42才)とアンジェラ(16才)の、出会いから破局(?)に至るまでを書いただけで終わってしまいました。

 画像が多くなってしまったので、お使いの端末や通信環境によっては重くて読みづらいかもと思い、新しいページに移らせてもらったんでした。

 前回の記事の冒頭で、今回のテーマは

どうして個性的な女はモテなくなってしまうの? 
どうして男はみんな自分のことを棚に上げて、若くてかわいい女がいいと言うの?

という女性の問いに答えることになるだろう、と書きました。

この問いを説明するために、「なぜレスターはアンジェラの胸の鼓動を聞き、我に返ってヤるのをやめたのか」という問題から始めていきたいと思います。

アメリカン・ビューティー登場人物相関

なぜ男は若い女がいいと言うの?

 「若い女のコがいい[icon name=”child” class=”” unprefixed_class=””]」という男性の言葉を聞くと、私たち女性は

「男にとっては、妊娠に最も適した時期の、若い女のカラダの魅力は絶対なのね…」

と考えてしまいがちです。だって男は生まれつき生物学的にそういう好みなんだ、そういうものなんだ、と言われたら、異性である私たちはそれを受け入れざるを得ない気分にさせられるからです。

 でも本当に、男性は若くない女性に魅力を感じないのでしょうか? 確かに我々女性だって、若い男とそうでない男のどっちがいいかと言われたら、肉体的には当然若い男がいいに決まってます。けれど女性の場合は、

「絶対若い男がいい! 同い年? おっさんじゃん、ムリ!」

と、年齢のみを基準に考えるケースは少ない気がします。価値観や経済力、美形かどうかなど、年齢以外の要素に注目するからです。

男性の守備範囲は女性と違って広いのに

 私が男性と接していて感じるのは、多くの男性が若い女性を好むのには本能とはまったく違う別のわけがあるということです。実感として男性の守備範囲は女性と違ってとても広いですし、特別な事情がない限り、若いカラダじゃなきゃダメなんてことはないように見えるからです。

 よっぽどモテて選択肢が多い男性の場合以外は、割りとブスからババアまで、広く異性を受け入れる態勢の人のほうが多いということを、日常で感じているからです。

「本能だから」は大体ウソ


引用:アラサーちゃん 無修正 5
たくさんの女とヤりたいと思うのは男の本能
なぜなら自分の遺伝子をより多く残すよう
DNAに組み込まれているからね

 峰なゆかさんのアラサーちゃん 無修正 5に、興味深い指摘があったのでご紹介したいと思います。「たくさんの女と関係を持ちたいと思うのは男の本能!」という男性の中で、実際に結婚せず女性たちに次々と子供を生ませることを喜びとする男性はごくわずかだと言うものです。

 私たちにとって男性がただ「優秀なDNAをもたらすオス」でないように、男性にとっても女性は単なる「俺のDNAを伝えるメス」ではないということです。私たちの社会は動物同士のつながりよりずっと複雑で、”本能だから”の一言で雑に片づけられるような事はほぼないと言っても過言ではないのです。

 私たちが知らなくてはならないのは、男性が「そういうもんだから」という言葉で隠そうとしている、彼らの本音のほうなのです。なぜならそこを理解することにより、男性の支配構造から距離を置き、女性に向けられた中傷にやたらに苦しまなくて済むようになるからです。

ババアとさげすみ、怯えながらもエロい目で見てくる理由

 幼女から熟女まで、幅広い女性を消費対象とみなす彼らですが、その一方で多くの男性は年かさの女性を恐れ、避けるということもする…… 彼らがこのような矛盾する行動をとるのには、背後に一体どんな思考があるのでしょうか。

 結論から言うと男性は、男性の社会的立ち位置や将来性を把握できる女性から、自分の実力を正確に測られジャッジされるのが怖いのだと思います。なぜなら私たちの社会は男性に成功することを強い、優れていない者には存在意義などない、という厳しいメッセージを発しているからです。

情けない父親像としてのレスター


引用元:アメリカン・ビューティー

2人とも僕を”人生の敗残者”だと

 このシーンは妻のキャロリンが、朝、出がけにブリーフケースの中身を庭にぶちまけるレスターに対して、侮蔑のまなざしを向けているところです。

 この冷たくうんざりした目!

 この女性から向けられる視線や表情こそが、男性(と男性自身)を萎縮させ、彼らから自信を奪う根本的な原因なのだと思います。

「なんてショボい男なの、あなたって。
どうして私はこんな男を選んじゃったのかしら…。」(バルスと同等の効果)

自分のレベルを知られたくないから

 私が考える、男性が言われたくない言葉ワースト1はさっき上で出したセリフです。成功することを余儀なくされ、女性と違って人生の選択肢の少ない男性にとって、「役に立たない」「あなたじゃなくて、もっとイイ男がよかった」という女性の言葉は、心をえぐる凶器となります。

 また、男性が若い女性を好む理由の一つに、自分の実力を測られたくないから、というものがあることを覚えておいてください。まだ社会経験が乏しい女性なら、自分の男性社会での立ち位置や将来性が正確にはわからないだろうから、自分でもイケるだろう、なんなら優位に立てるかも知れない、と無意識のうちに考えているのです。

年をとることは恐ろしい しかし…

 私たち女性は年齢や外見的な魅力によって、男性たちからランク付けされ、分断されています。年を重ね、容貌が衰えることが、そのまま社会的地位に直結するような職業についている女性も多いことでしょう。

 この現状はとてもつらいです。時には男性を恨みたくなるときもあるでしょう。しかし男性たちもまた、女性からランク付けされ苦しんでいるということを忘れないでください。彼らは私たちと違って、自分の行動を省みないし、共感能力に乏しく、優遇されていることに無自覚で人に対して残酷に見えるときもあるかも知れません。

 しかしそれらの特徴や女性への差別の気持ちは、私たちが社会からかけられたのと同じ呪いなのです。私たちは互いに苦しみを分かち合い、許しあいながら、よりよい未来を信じて変わっていかなくてはなりません。

モテるコツ

  1. 私たちが好きになるような男はほんの一握りだけど、それ以外の男性にも温かい目を向けること。
  2. 「ババア」と言わずにいられない、男性の恐怖を理解する。
  3. 人は他人を見下して自分を保つような、愚かで悲しい性質を持っているけれど、それを否定することなく受け入れる努力をする。(仕方ないのです)
  4. 老化するから女としての価値がなくなるのではなくて、もっと複雑な差別構造があって私たちは「ババア」と呼ばれる。冷静に理解し、必要以上に傷つかないこと。
  5. 自分で自分を無価値だと思わないで! 一番の問題は肉体ではないのです。

「何ものにも縛られない男」という呪い


引用元:アメリカン・ビューティー

 上のシーンは、レスターが美少女・アンジェラに初めて会った日の夜、彼のアンジェラへの妄想を映像化したものです。このイメージに対してレスターは、


引用元:アメリカン・ビューティー

20年間意識を失ってて

目覚めてゆく感じ

素晴らしい!! 

 

と、ベッドでこっそりと満面の笑みを浮かべます。

失われた20年間とは

 レスターの娘・ジェーンが16才ですから、ここで言う失われた20年間とはキャロリンとの結婚生活を指すと思われます。つまり上のセリフは、

「結婚する前の僕は力に満ち溢れ、すべてが新鮮だったのに、結婚によってそれらを失ってしまった。
けれど若い女と関わることによって、また力が戻ってきたようだ!」

と読むことが出来るのです。

「かわいい子」はあるべき自分になるための部品に過ぎない

 すると「若い女の子がいい」「かわいい女の子がいい」と口にする男性が、本当にその対象となる”若い女の子”を愛し、熱望しているかというと実はそういうわけではないということが見えてきます。彼らが求めているのは、何ものにも縛られず自由を謳歌していた(かに思えた)、かつての自分自身なのです。

 若いときの自分が、本当に自由で魅力的であったかどうかは関係ありません。大事なのは、当時の自分が若さゆえの希望に満ち溢れ、さまざまな選択肢を与えられていたということです。将来への希望もなく、責任の重さにあえぐだけの、中年期の灰色の日常を救ってくれるのが、若い女だと思っているのです。

 実はレスターの頭の中にはアンジェラの人格はおろか、実は肉体すら存在していません。

え、君って生きてたの?


引用元:アメリカン・ビューティー

  いざヤろうとしたらアンジェラに経験がないことが判明し、思わず心臓の鼓動を確認するレスター。つまり自分が今まで妄想していたアンジェラは、実際の彼女ではなくただの「若い女」という記号に過ぎなかったことを悟り、思わず目の前に実存する少女の生を確認してしまったのです。(すっごいシーン!!!!! だけど割りとわかる!!!!)

モテるコツ
 ある人がモテる理由を「人として価値が高いから」とか、「魅力的だから」と説明する人がよくいます。もちろんそういうときも多いのでしょう。しかし今見てきたレスターのように、相手に都合のいい妄想を重ね、心地いい自分を完成させるパーツとして他人を使用することも、私たちは同じようにと呼びます。
 モテたいと願うあなたは、不特定多数にモテるということは、多くの人に使用される汎用イメージになることなのだということを理解しなくてはなりません。だからモテる女になるには清潔感透明感が大切なのです。それはぶっちゃけて言うと、イメージを被せるのに邪魔な人間らしさを消すためです。
 しかし私がみなさんに望むことはモテること自体ではなく、モテることはばかばかしいことだと気づいて、男性の視線から自由になることです。男性に選ばれるなんて、本当はとてもむなしいことなのです。考えてほしいのは、モテをどうあなたが利用するかなのです。

責任を追及されないのなら、別にババアでもいい


引用元:アメリカン・ビューティー

 レスが何年も続いているレスター夫婦ですが、不倫を経験して艶っぽくなった妻に、レスターはそうと知らずに迫ります。そして次のようにささやきます。

君はいつから味気ない女に? 昔のあの娘はどこに?
合コンで退屈するとオーバーに心臓発作のマネ
ローブ姿でアパートの屋上に駆け登り
交通ヘリに前をはだけて見せた
僕はあの頃の君を今もよく覚えてる
引用元:アメリカン・ビューティー

 要するにレスターがいうところの新鮮で楽しい女とは、ちゃらんぽらんで向こう見ず、頭でっかちで自己実現ばかり考えている若者のような存在ということです。若いときは男も女も、無責任で時間がたっぷりあって自由。しかしそれは、月々のローンや学費、保険料などの支払いに頭を悩ませなくて済み、他人に対してまだなんの責任も取る必要がないからです。

 不倫により陰で自分を裏切っている妻に対して、自由のにおいを嗅ぎ取り迫ってしまうなんて、なんて皮肉なシーンなんでしょう!! 男性の抱く「理想の女性像」がはらむ矛盾を、うまく表現した名シーンだと思います。(ちゃらんぽらんな魅力で僕を楽しませてくれて、でも絶対一途♡なんて女は存在しねぇ! 甘えた夢を見たばっかりに「理想の妻」に裏切られるなんて、よくできた因果応報譚じゃねぇか!)

モテるコツ
 男性が考える魅力的な女のパターンが、だんだんつかめてきたでしょうか? そう、その一つの形は、レスターが言ったように、無責任で自己中で刹那的な女性、つまり頭悪い若い男みたいな女性です。
 つまり「結婚? 子育て? はぁ、何それ?」と言わんばかりの、息苦しい社会から自分を救い出してくれそうな、しかし家庭的で貞淑で安心感も同時に与えてくれる女性のことです。

 最近見たダーリン・イン・ザ・フランキス 1 (ジャンプコミックス)の02も典型的な、男を振り回すけど一途♡タイプの女の子でしたね。(アニメしか見てないけど面白かった…)
 あ、でもちょっと待って、まだ怒りに任せて町中の家という家に火を付けに行く時間ではありませんよ! だってこんなマニアックなモテブログを読むくらいですもの、あなたのモテに対する情熱は生はんかなものではないはずです。
 まずは落ち着いて、男性のわがままと野放しの欲望を理解してください。目の前にぶら下げられたにんじんを追って馬が走り続けてしまうように、私たちには男性に夢だけみせて実際には与えないという手段も用意されているのですから。

 またレスターは、結婚や子育てにまつわる様々な責任を妻がもたらしたものだとし、「妻のせいで俺は死んだように生きてきた」とつぶやきます。そして経済的安定を求め、子育てへの夫の参加を求める妻に対し、「味気ない女」「もっと昔のように奔放になって俺を楽しませてくれ」と迫るのです。

 

スミレ
若いお嬢さんがた、男性の甘えはわかりづらいものなのです。生きることに伴うどうにもならない辛さを女性のせいにして、「お前のせいだ!」と言って駄々をこねたりするの。そうすることで、ちょっとはラクになるのかしら……?

味気ない女ってゴルァ


引用元:アメリカン・ビューティー

 物語の冒頭でレスターは、

女房のキャロリン 植木バサミの柄とサンダルがマッチしている
偶然ではない 彼女を見ているだけで疲れてくる
引用元:アメリカン・ビューティー

という独白をしています。

彼女を見ているだけで疲れてくる、だとぅ?!

存在しない「完全な自由」を求めて

 先ほどアンジェラを「自分を解放してくれる記号」と見なしたように、キャロリンのこともまた、レスターは実体ではなく都合のよいイメージとして見ています。つまり妻を「責任と拘束が人の姿となって現れたもの」と勝手に思い込んで、疎んでいるのです。

 どうにもならない現実を人のせいにしてしまえば、状況を分析して自分を省みずに済み、今のままの自分でいることが出来ます。つまりラクなのです。その楽をするために妻を憎んだり無視したり、子供に向き合わずに親として無責任に振舞ったりするのですが、それは責任を取りたくないという甘えの表れなのです。(リアルピーターパンはグロテスクで残酷な家庭という密室を作る…)

 映画で語られるレスターの閉塞感――やりたくない仕事をするしんどさ、家族への責任、日常の退屈さ――は結婚してもしなくても、どのみち逃げられないものです。独身でいるなどして、人間関係を最小限にすることで多少軽減できる部分もあるでしょう。しかし基本的にはどんな人も、この類の生き辛さを抱えながら生きているのです。

 レスターはこれを、妻のせい、娘のせい、会社が俺を歯車扱いするせいだとして、怒りながら次第に無責任、無気力になってゆき、最終的には妻と娘から侮蔑のまなざしを浴びるようになりました。

 他人と暮らすことには拘束が伴い、子育ての責任は重く苦しいもの。しかしもしすべての責任や拘束から完全に解放されたとして、本当にそこには心の充足が待っているのでしょうか?

父親の甘えというグロ


引用元:アメリカン・ビューティー

パパが恥ずかしくて(アンジェラを)家に呼べなかったの。

酔ったようにスケベな目で彼女を見てるくせに!

 父であるレスターがあまりにもエロい目で自分の友達(アンジェラ)を見ることに嫌気がさしたジェーンは、レスターに直訴します。

 男として自由でありたい、いつまでも無責任な狩人でありたいと願うレスターと、その彼に父親として子供を庇護し、導く存在であって欲しいと願うジェーンは、物語の終盤、激しく衝突します。


引用元:アメリカン・ビューティー

ジェーンの訴えに対してレスターは、

お前もママに似たイヤな女になるのか?

と怒りをあらわにします。(自分の娘にイヤな女て、おい!)

 娘が経済的にも精神的にもまだ親に頼らなくてはならないのをいいことに、レスターは自分の身勝手さを理解し、許すよう娘に求めます。威張っているように見えますが、本当は娘に自分の生き方を肯定して欲しがっていて、本来なら自分のほうが子供を保護する立場でありながらそれを拒否し、娘に「女らしさ」を押し付けて甘える道具にしているのです。

 簡単に言うとレスターは、

「お前の人格形成とかトラウマとかそんなめんどうなことは知ったこっちゃねえが、お前はありのままの俺を受け入れろよ? 男の奔放さを称賛するのがいい女というものなんだから!」

と自分の子供に言っているのです。親子の会話にしては非常に性的だし、気色悪いですね。

 なんというグロテスクな光景なんでしょう!!! 一見幸せそうに見える普通の家庭が、こんなにもおぞましい暴力に支配されているなんて!!!

モテるコツ

  • 男性に対して徹底したあきらめを持つことで、自分の心の健康を保つこと。
  • 男性が言う、「女らしくない」という言葉はなんでもアリの万能ワードだから、いちいち反応して傷ついたり悩んではだめ。疲れてかわいくなくなる。
  • 結婚しても楽しい生活なんて待っていない。期待しないことによって、見えてくるメリットに注目すること。
  • 男性が叶わない夢を信じて苦しんでいるのを理解する。男からモテるとは、絶対叶わない夢を一瞬だけ垣間見せてあげるということ。

 長くなったので、次の記事に移ります♡

若くてかわいくなきゃ愛されないわけ①

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