「キャリバンと魔女」を読む。資本主義は絶えず支配したがる人間を生み出し、女をタダ働きに追い込んで成り立つ。

不平等をわざと作り分断する

不平等をわざと作り分断する

なぜ女性の賃金は男性より低く、仕事が得にくく、孤立させられバラバラに家の中に閉じ込められてしまうのでしょうか?

なぜ女というだけで性的に誘惑して風紀を乱すと言われて排除されたり、突然清らかで正しい存在だとされてもてはやされたりするのでしょうか?

その疑問の答えを封建制から資本主義へ移り変わる過程に求めたのが、シルビア・フェデリチさんの書いた『キャリバンと魔女』という本。

資本主義の力の源は女性の出産能力やケア能力などであり、私たちの社会は女性をタダ働きさせる巧妙な仕組みによって成り立っていると説明しています。

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この本、500ページ以上あるし歴史の話が多くて難しくて、もう少し賢くなったら記事にしようと思って寝かせておいたんです。だけど待ってたら寿命のほうが先に来ちゃいそうなので、不正確でおおざっぱかも知れないけど、自分なりに理解したことをざっくりイラストや文章にまとめてみたいと思いました。

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人を支配したがる層を積極的に作り出す仕組み

私が「キャリバンと魔女」を読んで驚いたのは、女性差別は意識的に作られ現在も維持されているということでした。この本を読むまでは、女は子どもを産む仕組みがあったり体が小さいせいで、次第に賃金が安くなったり労働から排除されたりしたのかと思っていました。

しかし作者のフェデリチさんは、資本家たちは意識的に女性の力を奪ってきたと言うんですね。雑な図なんですけど、資本主義が巧妙に性を利用して、人々を分断・支配する仕組みをちょっと描いてみました。↓

不平等をわざと作り分断する

不平等をわざと作り分断する

資本家(権力者)は、人と人とが尊重しあって助け合いながら生きていられると、搾取できなくて困ります。仲が良いと団結して暴動を起こすし、いったん土地や知識を共有して自給自足のコミュニティーを作られてしまうと、権力者の言うことを簡単には聞かなくなるからです。

なのでコミュニティーを破壊し、仲間や土地から引き離してバラバラにして、人々が金を介した付き合いしか出来ないような世界(資本主義)にしたかったのです。そして男を賃金奴隷にするためには、彼らの食事を作り新しい奴隷を生む女をタダ働きさせる必要がありました。そのため、権力者たちは女の行動を制限し仕事を奪い、デマを流しおとしめながら徹底的に自立して生活する力を奪っていったのです。

キャリバンと魔女』では、宗教と権力者が人々を分断し女を追い詰めていった歴史を、多くの例を挙げながら丁寧に分析しています。

このように男女を意図的に分断するやり方は、今の日本にもぴったり当てはまりますよね。女性の賃金を不当に下げ、仕事を得にくくする仕組みがそこら中にあって、ポルノを介したヘイトをばらまき、性暴力を犯罪扱いしないことで女性の行動を制限するところまで同じ。賃金格差を通じて男性に力を与え、女性を支配し暴力をふるうように仕向けているのです。

法律が女を守ってくれない国ではme too運動は盛り上がらない

日本やスペイン語圏の国々、イタリアなど、法律が男に甘く性暴力の被害者が口をふさがれてしまうような国では、me too運動があまり広がらないのだそう。『キャリバンと魔女』はアメリカで出版された本ですが、アメリカより家父長制が強く残る国々で大きな支持を得ているそうです。1

私もデモでスペイン語の歌に合わせて踊るたくさんの女性の動画を見て、スペイン語圏の女性運動はアメリカのとは少し違うんだなと感じていました。女性の告発を国ぐるみでぶっ潰そうとする社会では、危険すぎてme tooなんか出来ないですもんね。


で、フェデリチさんは資本主義を浸透させるための弾圧が、現在も南アフリカやブラジル、ナイジェリアなどで進行していると言います。それどころか女性に対する攻撃が、今世界規模で激化していると言うのです。

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反出生は12世紀から抵抗の手段

権力者がアメとムチで支配を試みようとするのに対し、人々はどのような手段で抵抗してきたのでしょうか?

それは医療や自治に関する知識や天然資源を生む山や森を共同で守り、金によって借金や不平等が生まれないコミュニティーを作り、介護や育児を仕事と認めみんなで助け合って生きることでした。

14世紀に入るとペストによって多くの人が亡くなり、とにかく人口を増やしたい権力者たちはいよいよ激しく共同体を攻撃しました。コミュニティーの人々を奴隷として囲い込み、女に子どもを産ませたかったのです。

しかし、人々に賃金労働を強制するのは思いのほか難しく、土地を奪っても賃労働を嫌がって死ぬ人がいたり、浮浪者になって逃げたりする人もいました。なので、攻撃はますます狡猾かつ暴力的になり、次第に魔女狩りへと発展していったのだそうです。

コミュニティの人たちがお互いを不信に思い、仲間割れしてくれれば団結力は弱まりますもんね。

また、異端と呼ばれるこの勢力は「これ以上奴隷を作らない」という理念のもとに、生まれる子供の数を調整していた記録が残っているそうです。生殖を強制されないことが大切なのだという考えは、中世のころからあったのですね。

女性を利用するためのワナは巧妙化した

当時はキリスト教が恐怖を植え付けて女に子を産ませていましたが、今はもっとやり口が巧妙になっています。

まずは、女性に美を強要すること。

美しさは結婚市場に参入するための手段で、これがダイエットや化粧などとともに、大幅に自主性が奪われた私たちの身体との関係を生み出してきました。

Ramon Book Project「シルビア・フェデリチ:家事労働とは労働力を再生産するものだ」

女を経済的に追い込み美を強制すると、女が自分から女性性を売るようになったり結婚を選んだりするようになるというわけですね。

確かにキレイになると気分がいいけど、かわいくあることをずっと強制されていると、自分の体が自分のものでないような感じがしたり、男を喜ばす道具として差し出さなきゃいけない気がしてきます。うう、えぐられる。

またもう一つの手口は、ロマンチックな愛を説いて、結婚して男の傘下に入るよう仕向けること。でもこの「愛の幻想」は、ヨーロッパでは知らんけどアメリカではもう消えかかっているとフェデリチさんは言います。そんなことよりも今は新しいタイプの理想が女を支配しつつあって、それは職場で女性性を発揮して男の上司や同僚に尽くす女像なのだそう。2

仕事を男の倍こなして昇給も望まず控えめでキレイで、職場でも男にとって「イイ女」でい続けなきゃクビにされて望まない結婚や風俗に追い込まれるって、育児家事から解放されてたとしても結局男の養分のままだし、大体こんなのやってられないですよね…。

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これからどうすればいいのか

男と同じ権利を得るだけだと、「賃金奴隷の奴隷」から「賃金奴隷」に昇格するだけなんですよね。で、いざ自分が「賃金奴隷」になったら、今度は移民の女性などより立場の弱い人にケア労働を押し付けるようになります。資本主義というシステムは、結局誰かを搾取しないと成り立たないのですね。

なので、スペイン語圏のフェミニズムの目指すところは「打倒・資本主義!」であり、みんなで助け合って生きる新しい社会システムを発明することなのだそう。今不当に切り下げられている子育て・介護・医療に従事する人々の賃金を上げ、孤立させられている女性同士が再び協力して力を取り戻すためのシステムが必要。

ただ、プライベートな領域にある育児や介護を人と協力しておこなうには、みんなが納得できるルールや仕組みが不可欠。これを作るのが難しいみたいなんですよね。

あとフェデリチ氏は、平等を望んで活動する男性が女性差別の解消に取り組まないなら、その活動は大体失敗に終わると言っています。

女性に対する男性の暴力をこれほど許容する運動では闘争に勝つことも、資本主義に勝利することもできないからです。

女性を虐待し、攻撃し、屈辱を与える、あるいは、そのエネルギーと自尊心を吸い取るような方法で女性を扱う男性がいれば、資本家は警察を必要としません。

男性がこの問題と向き合うことを始めないのなら、闘争が進まないと文句を言う事はできません。

Ramon Book Project「シルビア・フェデリチ・インタビュー後編」

「僕は女を差別してない!」と言うだけでは不十分で、男性が他の男性に対して注意してはじめて、真剣に平等に向かって活動していると言えるのですね。男が女を搾取することが資本主義をささえる土台になっているのですから、「何もしないで他の男の暴力を見過ごす」のでは、今の状態を維持しようとしているのと同じですもんね。

それから反出生などの女性のストも、状況を変えるのに有効だと言います。

だから、女性のストというアイデアは極めて重要だと思います。

率直に言って、子どもたちを生きる価値のある世界に連れてこれるようになるまで、女性はストを宣言して、子どもを持つことなどの活動をやめるべきではないかと私は考えています。

Ramon Book Project「シルビア・フェデリチ・インタビュー前編」

確かに、資本主義が女がタダで新たな奴隷を産み育てることで維持されるなら、ホイホイ産むのは思うツボなのかも知れません。私の場合、若い頃そういう仕組みに気付けなかったので産んじゃったんですけど、知ってたら違う道を選んでいたかも知れません。

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参考

1.

Ramon Book Project「フェミニズムと資本主義⑵ – ニ・ウナ・メノス」

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2.

Ramon Book Project「シルビア・フェデリチ・インタビュー後編」

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その他

Ramon Book Project「シルビア・フェデリチ・インタビュー前編」

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