男と会話が成立しない!上手に話すコツとは?【解答:男同士でも意思の疎通できてないよ】

『宮本から君へ』(1)新井英樹著

『宮本から君へ』(1)新井英樹著

アオイ

男の人と話しても、こっちの話をそもそも聞いてないし、なんでも自分の話にもってっちゃう。これって私が女だから?

アオイ

男同士なら、ちゃんと意思の疎通が出来てるの? 女にはわからない、特別なルールでもあるのかな?

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男同士でも意思の疎通は図れていない

男の人とうまく話せない―

多くの女性が感じる悩みだと思います。

たまに、必要最低限の連絡をしたいだけなのに、それさえ満足にさせてくれない人がいます。たいてい男です。

私は「男の人にはなにか特別の話し方があって、女の自分がそれを知らないから、うまく伝わらないのかもしれない」と、心のどこかで思っていたのですよね。

しかし最近、新井英樹氏の「宮本から君へ」というマンガを読んで、

男同士でも、全然会話成立してないじゃん

ということに気付いたのです。

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一方通行同士でお互い涙目

たとえばこのシーンは、新入社員・宮本くんが煙草を勧められるも、上司の声が小さすぎて聞き取れない、という場面です。

上司:一服つけろや(ボソボソ)

宮本:はい? ろ…ろや?(聞き取れない)

引用:『宮本から君へ』(1)新井英樹著

煙草を勧めるしぐさをしているので、聞こえなくても「あげるよ」と言ってることは伝わりますし、なんだったら宮本くんがもっと丁寧に聞き返してもよいのですが、彼はそこまではしません。

上司の意図がわからないまま、宮本くんはそそくさと自分も煙草を取り出し、一緒に吸おうとします。

それを見た上司は、宮本くんに拒絶されたと感じてキレてしまいます。

上司:おおおっ おれのタバコ そんなに! いやか~~~

引用:『宮本から君へ』(1)新井英樹著

上司は怒りに震えながら宮本くんのタバコを叩き落とし、「そんなにオレのタバコが嫌か?!」と怒鳴ります。

上司の必死の訴えに対してこの↑表情でワナワナするくらいなので、やっぱり男だって、一方的に気持ちをぶつけられたらストレスを感じるんですよね。

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意思の疎通が出来ないと男だって辛いらしい

話が一方通行だったり、全然聞いてない男がすごく多いので、もしかして男は意思の疎通が取れなくても気にしない人たちなのではないかと私は疑ってみたりするのですよ。

自分が全然気にしないから、他の人の気持ちにも鈍感になってしまうのかなって。でも

別にそういうわけじゃない

イヤなんですよ。でも人にはやっちゃうの。

宮本くんは会話が成立しない上司にストレスを感じながら、自分も同じことを女にやってしまいます。

女にはそんな男の良さがわかるはず

下のコマは、宮本くんがずっと片想いしていた美女・甲田さんと、会社をさぼって海に来たときのシーンです。

甲田さんは男に振られ、宮本くんになぐさめて欲しかったようなのですが、拒否されてしまいます。

宮本:こういう時!! 側にいて!! 優しくするのが俺は!! 許せないから

甲田:な…何て言ったんですか(波の音で聞こえない)

宮本:聞こえなくていい事だ!!

引用:『宮本から君へ』(1)新井英樹著

甲田さんが「彼に振られた」と言った途端宮本くんは服を脱ぎ、冬の海にザブンですよ。

清純だと思っていた女に、男がいたことがショックだったのです。

そして「フラれて弱った女に優しくするなんて、こずるい男みたいでイヤ! そしてこの話はおまえに聞こえなくていい!」と叫ぶのですが、

こういう風に硬派(?)な生き様を一方的に見せつけて、コミュニケーション自体を拒否する姿勢って、男性読者にはかっこよく見えるのでしょうか。

タバコを叩き落した先の上司と同じくらい、宮本くんも話し方が一方的なわけですけど、

女が男のありさまに共感し、感動して泣くことにして、強引に辻褄を合わせてしまいます。

甲田:ありがと(感涙)

引用:『宮本から君へ』(1)新井英樹著

甲田さんはほとんど話、聞こえてないはずなんですけどね。

なんか、ありがたくなっちゃったんですかね。

SPONSERED

上から順に抑圧して一番下で女が辻褄を合わせる

今見てきたように、上に立つ人間に権力を与えて、下の人間へやりたい放題することを許す、というのが男社会のピラミッドの特徴だと思うのですが、中の人たちはやっぱりストレスが溜まって苦しいんです。

全然順応してないし、わけもわからず服従させられるのが嫌でしょうがない。

トップでいい気分になれるのはほんのちょっとしかいなくて、数で言えば下になって耐える人間のほうが断然多いのです。

しかし、組織をもっとフラットにしてパワハラが起こりにくい組織にしよう、とか、お互いコミュ力を高めてスムーズなやり取りができるようになろう、という建設的な方向にはあんまりならないのが、七不思議の一つ。

みんなあんまり得してないのに、一方通行と権力の濫用に反抗しないのです。

なぜなら、組織の一番下(というか外)にいる、女で辻褄を合わせてしまうから!

いじめられたストレスも、上に立てなかった悔しさも、女に”癒して”もらって解消できると思えば、改革しようなんて思わないのです。

”癒し”という言葉に隠される「憂さ晴らし」

男は女に”癒され”たいとよく言いますが、”癒し”の実態って一体なんだったのかって話なんですよ。

上司にタバコを叩き落されて、震えるほどの理不尽を浴びせられて、それが女になでなでされるくらいで解消できるとは思えません。

嫌がる女をカネとか「女らしさ」で追い込んで、男に渋々従うしかない状況に追いやる

ぐらいやらないと、恨みつらみをスッキリさせることなんてムリでしょう。

だからポルノに加害がつきものなのです。

会話しようと思っていない男と、会話するコツなんてありません。

SPONSERED

いじめておいて女も喜んでいたことにする

多くの女は貧困に追い込まれていますから、結婚なり水商売なりで、会話の成立しない男にニコニコ接することを余儀なくされます。

職場や学校など、建前上男女平等を謳う場ですら、「女らしさ」を要求されて、セクハラ教師や同級生相手に感じよく振舞わなければなりません。

四方八方から追い詰められて、抵抗する力を奪われた女を見て、

「結局おまえもヨカッたんだろ?!(悦んでたじゃないか♡)」

って強引に考えて罪悪感帳消しにしようとするの、本当なんなんですかテンプレでもあるんですか?

もう私なんて、宮本くんが権力の権化にしか見えないですけどね?

自分は一方的に気持ちをぶつけられたら嫌だけど、「女はそういうの好きじゃん?喜ぶものじゃん?」って都合よく考えた結果の甲田さんの感涙じゃないですか。

そして「そんな自分は他の男と違って純粋な少年である」って、絵から伝わる都合のいい自己認識。

宮本:わがままって知ってて自分を許すのってずるくないですか

引用:『宮本から君へ』(2)新井英樹著

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自分の思う自己像を自由に描けるって、本当に純粋な権力だと思うんですよね。

本当は上司と変わらない自己中心的な性格なのに、主人公だけ女みたいなかわいい顔に描いて「他の男は知らんけど、自分だけはピュアだから。わがままじゃないから」って言うの、裸の王様も真っ青ですよね。

「女らしくしろ」の本当の意味

上から下に押しつぶすみたいな組織構造は、本当は最初からうまく機能してなくて、たまったストレスを解消する仕組み(女)に支えられてなんとか立っていたのでした。

だから女が「イヤ」って言ったら組織が崩壊するから、男は本当、困っちゃうんですよね。

「女はもっと我慢しろ」「女らしくしとけ」とうるさくすがる男が湧いて仕方がないのは、組織につぶされた男はもともと女に解消してもらう他行き場がないからなのです。

今までは家庭とか、職場の女とか、”恋愛”と称してそのへんの女とかで憂さ晴らししてたんですが、最近は素直にサンドバッグになる女が激減したんで、しょうがなくネットで絡んでるんですよね。あれは伝統なんです。

マスメディアのおっさんが「女らしさ」とかロマンチックな物語を女に流し込みたがるのは、海で泣いてた甲田さんのように、”押し付け”を「私、愛されてる?」と変換できる便利な存在が欲しかったからです。

愛と言う名の共同幻想を埋め込んで、組織のひずみを最終的に受け止めるバッファが必要でしたから。

愛と言う名の共同幻想(不公平)

面倒を押し付けても文句を言えないよう、経済的に追い込むだけでなく、女が自発的に支配を受け入れたらもっと便利ですよね。

たとえば下の画像は、はるな檸檬氏の「ダルちゃん」です。

主人公のダルちゃんは、おしゃれなデートよりただ恋人と一緒にいられることこそ大切だと語ります。

ダルちゃん:他の人たちがどこに行くとか 何が人気とかそういうのどうでもいい

河原だろうが道ばただってどこでもいい どうだっていい

一緒にいられたらそれだけでいい

引用:『ダルちゃん』 (2)はるな 檸檬著

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自分の人生とか体裁とか、何もかもかなぐり捨てて「あなたが好き!」って情熱的な愛の告白は、まるで「崖の上のポニョ」のポニョみたいですよね。すごく女らしいです。

でも、男は女に対して同じように全てなげうったりしないのですよ。

愛の共同幻想は、女にとても不利に働きます。

「女らしさ」は奴隷育成プロジェクト☆

すごく怖い話なんですけど、ブルデューによればこういう自然に湧き出るような女らしさこそ、もっとも厄介な女に対する暴力だと言うのです。

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象徴的な力というのは、直接、魔法のように、いっさいの物理的拘束の外で身体に行使される権力の一形式である。

しかしこの魔法は、ちょうどバネのように、身体の奥底に仕込まれた性向を拠りどころとしてはじめて作用する。

この魔法が、まるでスイッチが入ったかのように、すなわちきわめて弱いエネルギーの放出によって作用しうるのは、男性や女性のうちに教え込みと身体化の作業によって設置されている性向を起動させればよいからであり、前もっての作業の結果として、彼ら彼女らが魔法にとっかかりを与えるからである。

引用:『男性支配』ピエール・ブルデュー著

たとえば「女らしくしろ」って言いながら子どもを育てるだけで、人口の半分を潜在的な奴隷として育成することが出来ます。

なぜ刻々と変わる女らしさの定義が、いつも「男じゃないこと」に集約されるかと言うと、それは「男の面倒を見る人」という意味だからです。

凸と凹がぴったりはまるように、男は女といるだけでいい気分になるように、どちらもいい塩梅にプログラムされています。

男は人の話を聞きませんが、女はみんなの話を聞きます。

男は足を開いて出来る限り場所を取って座りますが、女は足を閉じて体を縮めて座ります。

男女が一緒にいるだけで、「男らしさ」「女らしさ」が発動し、男はどんどん付けあがり、女は一方的に奪われます。

女らしさは、男に呼応して自発的に奴隷化するよう、長年かけて仕組まれるワナだと言うのです。

マナーや「らしさ」に組み込まれると抵抗できなくなる

さらにブルデューは、しつけや教育など、小さいころから性格として奴隷属性を埋め込まれてしまうと、抵抗することが絶望的に難しくなると続けます。

被支配的な(ジェンダー、民族、文化ないし言語の観点からみてハビトゥス、すなわち身体症状化された社会関係、身体化された法則へと転換された社会的法則の受難は、単純な意志の努力、解放へとつながる意識化にもとづく努力によって中断できるものではない。

象徴的暴力が意識と意志という武器だけで打ち負かせると信じるのは完全に錯覚である。

というのも、象徴的暴力の有効性の効果と条件が、性向というかたちで身体のもっとも内密なところに、持続的に組み込まれているからである。

引用:『男性支配』ピエール・ブルデュー著

つまり、ヘンだな、嫌だな、私なんか損してるって思ったとしても、男をいい気分にする属性が人格とかマナーに刻み込まれているため、抜け出せないのです。

男に利用されるのはイヤ!と思っても、やっぱり控えめに笑ってスカートのすそを直し、小さく場所を取らないように座ってしまいます。

男と一緒に住めば、いつの間にかかいがいしく世話を焼き、ニコニコご機嫌取りなどしてしまいます。

でも男は女に対して「快適だな」と思うだけで、絶対同じようには返しません。

こうして男は罪悪感すら感じずに、暴力すら用いずに、女をゲットするだけで快適な自我と生活を手に入れられるような仕組みになっているのです。

絶望の中で低位安定してしまう

こういう「女らしさ」「男らしさ」に絡めとられて、抜けられない支配/被支配関係の蟻地獄を歌ったのが、森田童子の「ぼくたちの失敗」に歌われる世界なのかなと思ったので、最後にご紹介したいと思います。

森田童子は1970年代を中心に活動していた女性シンガーソングライターで、メジャーでは売れることなく1983年に引退。

しかしその10年後、ドラマ「高校教師」のヒットをきっかけに、「ぼくたちの失敗」は当時90万枚も売り上げる大ヒットを記録したそうです※wikiより

この「高校教師」というドラマがまたすごくて、今はAmazonHuluで見られるんですけど、父/教師から少女への性的虐待、恋愛関係がテーマの壮絶なストーリーでした。

ぼくたちの失敗」は1976年発売なので、ヒットしたのはなんと発表から17年後ということになります。

歌に込められた腐乱した絶望が昇華したような透明感は、実にこのドラマにマッチしていました。

主人公の女子高生・繭は、父の女になることを強要され、その関係から抜け出したいと思って新人の男の教師に助けを求めるのですが、父親との愛憎の泥沼からなかなか抜け出せません。

優しくて面倒見がよく、情に厚くて人懐っこいのです。

また、虐待から逃れたとしても、結局教師の世話をしながらかわいく懐に収まることが期待され、救いがありません。

福祉が正常に機能していないこともさることながら、繭の女らしくて、男にぴったりハマってしまう性質も、絶望的な状況に拍車をかけます。

結局「女らしい」人はどこへ行っても、誰かしら男に熱烈に所望され、ずぶずぶと泥沼にハマってしまうのです。

ワンオペ育児の歌かよ


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春の木漏れ日の中で
君のやさしさに埋もれていた僕は
弱虫だったんだヨネ

引用:『ぼくたちの失敗』作詞/作曲 森田童子

家事も育児もやりたくないからやらないくせに、言い訳がましく「これがオレなんだ、不器用でゴメン」とズルさを正当化する男。

ぬるく安定していく過労気味の生活の中で、絶望する女の顔が目に浮かぶような歌ですよ!

「春の木漏れ日」って、女性の優しさとか献身によって提供される、穏やかな家庭生活のことなのかな、と解釈しました。

そして「やさしさに埋もれ」ていた僕が「弱虫」だったのは、なーんにもしなくても女がかいがいしく働いてくれるので、ちょっと罪悪感感じつつも、便利で動きたくなぁいって気持ちなのかなと。

純愛とか言いながら、きっと繭と羽村(教師)も結婚して、こういうパッと見普通、中身絶望の沼にはまるのですよ。

分担したいって言ってるのに、一緒にいるだけで女が過労になるの、本当「ぼくたちの失敗」ですよね。

プログラムの失敗。

地下のジャズ喫茶
変われない僕たちがいた
悪い夢のように 時がなぜていく

引用:『ぼくたちの失敗』作詞/作曲 森田童子

子供が出来て社会との接点が薄くなって、本当に悪い夢でも見てるみたいなのに、変われないし抜け出せない。

「地下のジャズ喫茶」を、家庭という、社会から閉ざされた空間と解釈しました。

そして「変われない僕たち」とは、「男らしさ」と「女らしさ」がピタッとはまって、男女の力関係が不平等になっていくのをよくないなぁと思いつつも、なかなか変えられない様子を。

「悪い夢のように 時がなぜていく」とは、育児・家事などに女が疲れ果て、男女のあいだに決定的な溝が出来ていることは意識しつつも、子供はまだ小さく、出口の見えないトンネルのように家庭の営みは続いていくことを表現しているのかな、と思いました。

一時期話題になった、ムーニーのワンオペ育児の炎上CMにそっくりなコンセプトですね。


まとめ

まとめ
  • 男同士でも、あんまりうまく会話できていない
  • 対話出来ない男は多いけど、「女らしい」とうまく対応できてしまう
  • 「男らしさ」と「女らしさ」を一緒の部屋に入れると、女は奴隷になる
  • 地獄が完成すると、関係を破壊しない限り抜け出せない
  • 人格が根底から変わらない限り、女として生きてるだけで搾取の対象
  • 「女らしさ」は奴隷育成プラグラム