会話出来ないから暴力に頼る】男は「察する」をへりくだる行為だと思っている

『宮本から君へ』(2)新井英樹著

『宮本から君へ』(2)新井英樹著

最近、ジェンダー関連のニュースが多く、子どもを持つ身としてはどういう方向で「女/男らしさ」と向き合えばよいか右往左往しています。

うちには小学生の男の子が2人いて、犯罪の被害に遭わないで欲しいと願うことはもちろん、加害側にならないように教育しなければならないとも思います。

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犯罪するのもされるのも男が多い

下は2017年度に犯罪の加害者として検挙された人のグラフです。

左端の数値をみると、男性の検挙数は女性の3.8倍なので、犯罪全体のおよそ8割が男性によって起こされています。

女性の犯罪者は全体の2割を占めますが、そのうち約8割が窃盗です。傷害・暴行事件の男性の検挙数は女性の10倍です。

刑法犯 検挙人員の罪名別構成比(男女別)

刑法犯 検挙人員の罪名別構成比(男女別)

平成30年版 犯罪白書 第4編/第7章/第1節

また、下のグラフを見ると、男性は犯罪の被害者になる割合も女性より2倍ほど高いのです。

人が被害者となった刑法犯 認知件数・被害発生率(男女別)の推移

人が被害者となった刑法犯 認知件数・被害発生率(男女別)の推移

※平成30年版 犯罪白書 第6編/第1章/第1節

コミュニケーション能力が低いことも一因?

私は個人的に、男の子の言語能力の低さがトラブルの一因ではないかと考えています。

息子2人は毎日のように、ゲームをやる順番、どのルールで遊ぶかなど、ささいなことでモメています。

大騒ぎしているときはしょうがなし私が仲裁に入るのですが、フタを開けてみると相手の言い分に聞く耳を持たなかったり、気持ちを伝えられないなどが原因で、大声で威嚇したり叩いたりつねったりするなどの暴力にエスカレートしてしまうようなのです。

なぜコミュニケーションがうまくいかないのか、彼らの口論を聞いてみると、

  • 「いつ」「どこで」「誰が」「何をした」のいずれか、あるいは全部脱落していて言いたいことが不明
  • 一方的に好きなことを言い放つだけで相手の言い分に関心がない(これは機嫌がいいときも)
  • 腹が立ったらすぐ手が出るなど、感情を制御できない

など、意思の疎通が取れておらず、言語(思考)能力が足りないように思います。

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大人になっても会話が出来ない

この傾向は、大人の男性にも当てはまります。

私の人付き合いの範囲が狭いせいかも知れませんが、男の人は大人になっても会話がままならない人がとても多いです。

お互いの話を受けて意見を言うキャッチボールが成立しないのはもちろんのこと、

  • 主語がない
  • 突拍子もなく自分が話したいことを話す
  • 相手が何について話しているか把握できない
  • 自分が何を感じているかわからない

など、会話能力が女の子で言うところの幼稚園卒園レベルで止まってしまっているケースが目につきます。

意思の疎通が出来なければ、トラブルに巻き込まれても仕方ないですよね。

察してもらえるから表現力が育たない?

母親を含む、女の察する能力が高すぎて、男の表現力が育たないのでは?、という意見があります。

心療内科医の海原純子氏は、ノンフィクション作家の高橋秀実氏のインタビューに応えてこういいます。

「強者と弱者の関係でいえば、男の子は強者の立場に置かれます。

つまり、まわりが彼のことを察してくれる。

人の話を聞いたり、共感したりしなくてもいい。

黙っていても察してくれるから表現する必要もないんです。

ところが、女の子は弱者の立場。

常にまわりを察しなければならない。

そして自分のことを察してもらえるように一生懸命表現する。

わかってもらおう、伝えようと努力するんです。

だから表現能力が身についていくんです」

引用:「男は邪魔! 「性差」をめぐる探究」高橋秀実著

つまり、一見お得に見える男性優位が、男の子の健全なコミュニケーション能力の成長を阻んでいるというわけです。

小さいころから女の子に察され続けた結果、洞察力や理解力を発揮しないまま大人になってしまったのですね。

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話を聞けない男と犯罪の距離は近い

そういえば「モテと非モテの境界線」という本でも、人材コンサルティング会社経営者の川崎貴子氏が、会話が出来ない男性についてこんなエピソードを話していました。

(女性と付き合ったことがほとんどない高齢の男性は)「女性ってこうでしょ」という決めつけが会話にちりばめられていて、相手の気持ちを汲み取れない。

相手の話を聞かず、自分の自慢話ばかりべらべらしゃべるなど、女の人と向き合ってこなかったんだなあ、という感じがするんだそうです。

向き合ってきてないということは、揉めて、仲直りして、という経験もしてこなかった。

だから、ちょっと口論したりすると、すぐ連絡がとれなくなってしまう

引用:「モテと非モテの境界線 A\/監督と女社長の恋愛相談」 川崎貴子、二村ヒトシ共著

最後の、「ちょっと口論したりすると連絡が取れなくなる」、という一文がとても気になります。

一見、消極的で無害なように見えるのですが、実は犯罪まであと一歩です。

このような人が「今回は本気!」と意を決して近づけば、とたんにストーキングや暴行事件を引き起こしてしまいます。

なぜなら基本姿勢に、相手の言い分を聞いて譲歩しようという気がまったくないからです。

男同士は会話をパターン化

では、相手が察してくれない同性だったら、男性は一体どうやってコミュニケーションをしているのでしょうか。

たとえば下は新人サラリーマン・宮本くんが恋愛や仕事に奮闘する様子を描いた「宮本から君へ」というマンガの1シーンす。

田島:せや 仕事はなれた神保さんてどないな人や

宮本:よくわかんなくてさ 仕事以外の話ってほとんどしないんだから

引用:『宮本から君へ』(2)新井英樹著

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宮本から君へ」は全12巻ですが、彼は同性と、

  • 業務連絡
  • 思い通りにしたい(漠然と)

の3パターンの話しかしません。

基本的に職場には男しか登場せず、業務連絡と女の話しかしないし、会話もパターンも決まっていて、宮本くんは「自分の思い通りに出来るかどうか」「出来なくて苦しい」「あの人は思い通り出来ていてうらやましい」「オレはスヶへ¨じゃない」くらいしか言わないのです。

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本音で話すと暴力沙汰になるから

同性のやり取りはこれ以外にもあるのですが、パターンから外れたコミュニケーションにはたいてい暴力が絡んでしまいます。

男と男はどちらもゆずらないので対立しやすく、本音を匂わせただけでケンカになるんですよね。

会話をパターン化するのは、衝突しやすい男同士がもめずに過ごすための工夫なのかも知れません。

「女」「権力への欲求」「競争」「上下関係」という触媒をはさまない男同士のやり取りの例として、宮本くんがあまり親しくない高校時代の同級生・玉川くんと対峙しているところを持ってきます。

たぶん宮本くんからしたら玉川くんは、男社会の外にいる「男」落第の人間です。

おそらくこのシーンを描く作者の意図としては、人間失格な奴にも誠意を持って向かい合える、宮本くんの人間力の高さを表現したいのだと思います。

宮本:お前と俺の共通の話題見つけたんだよ

玉川:話なんかして手なずけようとしたって無駄だからな

引用:『宮本から君へ』(8)新井英樹著

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玉川くんは高校時代、クラスでの地位が低く、たった一人しかいない友達からも疎まれていました。

宮本くんはそんな彼と数年ぶりに再会して、何を話していいか非常に困るのです。

人間全般に非モテで職場も違う彼とは、安全な定型パターンである女の話、「偉くなりたい」系の語り、そして業務連絡も出来ないからです。

察するのはへりくだる行為

漫画なのでフィクションですし、すべての男性に当てはまるとは思わないのですが、安全なクッションをはさまない男同士の雑談がいかに難しいか伝わってきます。

男同士では、相手の感情を理解しようとする姿勢を取ること自体が重く、お互いにプライドが傷つく行為であるようなのです。

おそらく男性には、察するのは下の立場の人間という意識があり、相手にへりくだる行為だと思っているのです。

だから宮本くんは、共通の話題を持ち出すなどして玉川くんを気遣うそぶりを見せるとき、腹立たしげに体を震わせたのです。

そして玉川くんもまた、宮本くんの気遣いを「男として対等に思われていない、同情されている」と受け取ってしまうので、反発して「手なづけようとしてもムダ」とわめいてしまいます。

殿様同士、雑談もままならずいつもピリピリしていて、不憫ですね。

他人の気持ちを察するのは格下の女がすることであり、一人前の立派な男はやるべきではないと思い込んでいるのです。

これでは男同士でいくら一緒にいても、コミュニケーション能力は育ちようがありませんよね。

男を逃がすな

そう考えると、私が母親として取り組まなければならないのは、男の子を羊のようにおとなしく育てることではないようです。

暴力の発生に深い関りがあるのは、コミュニケーション能力の低さだと思います。

暴力が発生する土壌
  • 「察する」を「へりくだる」だと思い込み、気持ちをゴリ押し
  • 同性への嫌悪、見下し
  • 自分が見下されることへの恐怖心
  • 悲痛なまでの自尊心の低さ
  • 同性との摩擦を解消するために女を利用

あいまいに逃げようとする男をつかまえて、最後まで話をさせないといけないなぁと思いました。

まず、「僕は~思う」などと、自分の気持ちをきちんとした文で話せるように訓練しなければなりません。(レベル低くて泣ける)

また、女に対する固定観念も、出来るだけ訂正しなければなりませんね。

次の世代の女の子に、悲しい想いをさせたくありません。

日本の作品はひどいものが多いので、海外のドラマやアニメを大量に見せようと思います。

まとめ

まとめ
  • 男は犯罪の被害者にも加害者にもなりやすい
  • 仮説:会話が成立しないことも犯罪に巻き込まれる一因
  • 気持ちゴリ押しは犯罪まであと一歩
  • 女は察っさないで男にちゃんとしゃべらせる
  • 仮説:男同士ではコミュ力伸びない
  • 男は同性に対しても物凄い差別意識を持っている