SPONSERED
目次
登場人物

スミレ


恋愛なしに結婚するのも難しい
そこから面倒見なくちゃならないなら、
男と関わる意義とは…?!
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埋め込まれた恋愛幻想
男と恋愛抜きの対等な関係を結ぶには、まず男が女に対する幻想を捨てなければなりません。
しかし男の女に対する幻想はアイデンティティに埋め込まれているので、生半可なことでは目を覚ませない人が大半です。
こういう幻想に囚われた男は、女を自分が本当の自分になるために不可欠なパーツと考え、会話したり機嫌をうかがったりする必要を感じません。
すると当然関係を深めるのもメンテナンスするのも女の役割になりますが、恋愛が疲れるのはそういう男を相手にしているからです。
過剰な期待をしない男は既婚者ばかり
それなら幻想に囚われていない男を探せばいい、と賢い女は考えるのですが、ふと見渡せば女に過剰な期待をしない男は既婚者ばかりです。
なぜなら男が幻想を捨てるには、
- 姉妹や妻など、対等な立場の女との戦い
- 女に「きちんと向き合おう」と思わせるだけのコミュ力
- 自分の世界に引きこもる弱虫ではない
の3つの条件が必要ですが、これが揃っている男は目ざとい女が秒で型にはめてしまっているからです。
焦土に立つあなたに残された道は撤退か、既婚者とのぬるい関係に甘んじるか、幻想に囚われた男を戦場に引きずり出すかの三つです。
男は幻想が壊されるのを拒否する
あの時分からなかった答えを そんな一気に言われても分かりません!!
たとえば、漫画『モテキ』の主人公・藤本幸世は、ずっと好きだった女・小宮山夏樹に去年自分がフラれた理由を告げられます。
夏樹は当時言えなかった自分の気持ちを打ち明けますが、幸世は聞くことを拒否してこのあと店を出て行ってしまいます。
あの頃の幸世君って私が好きになるの待ちって感じだったじゃん
あ 別に幸世君の事嫌いだったわけじゃないよ?
夏樹は、「恋愛したいなら相手が好きになってくれるのを待っていてはダメで、相手の意思を確認しながら関係を構築しようと働きかけなくてはならない」と言っているのです。
女は、明るい方へ思わず寄っていってしまう虫より複雑ですからね。
イケメンでも優しくても金持ちでも、傷つくことを恐れて相手のアクションを待つばかりの子供を相手にするのはとても疲れることです。
幻想のない不確かなグレーゾーンを生きるのは苦しい
人間と関わりたいなら、自分から「もっと仲良くしたい」とか「恋人関係になりたい」と意思表示して、期待していたより好かれない現実や拒絶されるリスクを受け止めながら、忍耐強く向き合う必要があります。
俺が好きとかじゃ全然なくて ひたすら気を遣わせてるだけの状態な気がする
人間関係は不確かで儚い関係性の連続でしかなく、どこまで行ってもグレーゾーンしかない無限地獄のようです。
つかの間の幸せを誰かと共有できたとしても、相手の心変わりを心配する日々から逃れることは出来ません。
「愛される自分」になりさえすれば、永遠の愛が約束されると信じられたら、どんなに心が安らぐことでしょう。
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実態を知ったら妄想に支障
「愛される自分」にさえなれば好きになってくれる女とは、自意識や葛藤、めんどくさいトラウマも過去も何にもない、単純化された女のことです。
美人で料理ができて いろんな相手に合わせられる
きっと今までフツーに恋愛して 沢山ヱ□い事もこなしてきたハズだ
男が女に執着するのは、女が一方的に心地よさを提供してくれる存在だと思い込んでいるからです。
女が結婚したいのは主に子供とお金のためですが、男が女に求めているのはクソみたいな現実を夢で包みこむことです。
自分の話を聞くことを拒否して店を出た幸世。
追いかける夏樹に幸世は罵声を浴びせます。
好きだったら期待するじゃん! 優しくすんなよ バーカ
キレた理由は「思わせぶりな態度を取ってきたくせに、結局自分を受け入れてくれなかったから。」
一方的に思いをぶつけるばかりの幸世は、夏樹にも彼女なりの事情があることを認めません。
人と付き合うには、お互いに相手の複雑さを受け入れて、その上で一緒にいたいかどうか二人の気持ちを確認し、そうであればどうすれば二人が心地よく過ごせるのか話し合う必要があります。最も重要なのは互いの意思であって、理解ではないのです。
幸世のように、相手の言っていることが理解の範疇にないし、気に入らないからキレる、というやり方では、付き合うどころかコミュニケーションを取ることすら不可能です。
合意の概念すらない暴力的な態度を取っておいて、恋を言い訳に被害者面して期待通りにならない相手を加害者に仕立てる、というのは実に巧妙な支配の手口です。
女の子はオレの夢を叶えてくれる存在のはずなのに、何で傷つけるようなこと言うの? 性格悪っ! お前なんかまともな女じゃない! 本当オレって被害者!
妄想を刺激する女は全力で押し戻される
美人だったり弱々しく見えるなど男の妄想を刺激する女であれば、通常より激しい攻撃にさらされます。
「そのへんにいる、かろうじて”女”」であれば、「どこかに本当の”女”がいるさ」と思うことで幻想を守ることができます。
しかし理想の女を体現したかのような女が、生身の自分をさらして男の幻想を壊そうとするならば、彼女を完膚なきまでに叩きのめさないことには幻想を守ることが出来なくなります。
ゴメンね…
過大な要求をされた側が、なぜか罪悪感を抱いてしまうこの逆転現象は、「女らしさ」が仕組んだ巧妙なワナなのです。
夏樹に罵声を罵声で返せる健全な自己愛が育っていたら、男にここまで妄想をなすりつけられなくて済んだかもしれません。
ですが、こういうタイプは小さいころから周囲に理想を押し付けられ、イヤイヤながらも引き受けて生きてきてしまったため、心に折り癖がついてしまっています。
不幸なことに、ぼっきぼきに折られながら人格形成してきてしまった女は、男を過剰に引き寄せるのです。
今回だって性的に生々しい自分を吐露してみるも、相変わらず凄い力で人間らしさを否定されて、その上罪悪感まで植え付けられてしまいます。
人間でいてゴメンね…
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相手の他者性を受け入れるには成熟が必要
もちろん結婚したいからといって、自分を押し殺して男好みの都合のいい女を演じ続けるのは苦しいことです。
相手を抑圧しなければ成り立たない幻想なんてすべて解体されてしまって、男女の新しい地平が開けるならそれに越したことはありません。
この記事の冒頭でアオイちゃんが言ったような、「結婚という名の共同体」も新しい男女の形の一つでしょう。
しかし妄想の入り込む余地のない、ただ目の前に存在するしかない圧倒的な他者を受け入れるには、男と女が精神的に成熟していることが不可欠です。
夏樹ちゃんの中に俺はいない ただ目の前に存在するだけ
本当の幸世君なんてどうでもいいよ
幻想が壊れ、女が理解の範疇の外にいる、捉えられない圧倒的な他者として立ち上がってきたとき、男は自我の崩壊の恐怖に直面します。
今まで女を苗床に育ててきた夢の世界が壊れてしまうからです。
他者としての女と同時に、得体の知れない世界がぬっと顔をのぞかせます。
お互いの心の中に、確固とした何かがあると信じられるから、安心して生きていけるのに!
あいまいで寄る辺なく浮かぶ、割り切れない世界なんて嫌だ!
どこかにいる「本当の自分」を信じて、他人だってきっと理解できるって信じていたい!!
現実に屈服させられるくらいなら撤退する
また俺が全部悪いんだ
恋愛みたいなややこしいものさえなければ、男と対等な関係(結婚)を築けるのでは?と期待したいガールの気持ちは本当によくわかります。
しかし性的関係があろうがなかろうが、酒飲んで暴れ、家族を裏切って好き放題しても「男だから仕方ない」と許されるような社会では、男の暴走を止められる人は誰もいないのです。
むしろ家族ははけ口として機能し、女が取れる抵抗&防衛の手段は離婚一択だったりします。
そんな状況では結婚なんて女にリスクが大きすぎるのでオススメしませんが、それでもいいから検討したいという人に向けてもう少し書いてみます。
男の逃避の被害は甚大
自分の安全な世界を壊される危機に瀕したとき、男が取る行動は主に次の3つ。
- 否認(「非常識」「お前はおかしい」「でたらめでしょ」等)
- 逆ギレ
- 逃避(見ないフリ、ほっぽらかす、引きこもる、依存、嗜癖)
このうち、3の「逃避」がもたらす被害が一番甚大です。
逆ギレしようがでたらめ言おうが、女とケンカ出来るうちは実はまだマシな状況なのです。
しかし向かい合うことが面倒になったり、逃げられる状況だと認識したり、他に依存対象を見つけるなどすると男はとたんに現実から逃避をはじめます。
誰にも迷惑かけずにひっそりいなくなってくれるならいいのですが、男が逃げるときは高確率で周りをなぎ倒しながら逃げてゆきます。
たとえば酒や女、ギャンブルへの依存は現実逃避の定番ですが、これは家族を経済的に追い詰めながら前後不覚を言い訳に暴力をふるうので、関わる人全員が地獄に落ちます。
全能感が生み出す重圧に耐えきれず逃げ出す
ここから幻想の話にまたつながってくるのですが、男を逃避に駆り立てるのも子供のような全能感(幻想)なのです。
自分を中心に世界が回るという、他者を排除した世界を信じることは、反動として「すべてぼくのせい」という途方もない責任感を生み出します。
女にも女の事情があり、男のせいだけじゃなくて自分なりの葛藤やトラウマとか色々あって怒ったり泣いたりもするわけですが、女も色々ある人間だと認められない男は、女の不機嫌を全部自分が悪いからだと責任を感じてしまうのです。
他人の感情にすべて責任取るなんて不可能だし傲慢な考えです。
人に出来ることがあるとしたら、想像して寄り添うくらいしか出来ないと思うんですが、それじゃさみしくて不安だから人類補完計画!とまたしても男は他者をとことん排除する方向に進みがちです。
その結果、世界に対する全責任をしょい込んだ男は、そのあまりの重さに耐えきれず、すべて放り投げて逃げ出すのです。
え…まさか こん位で鎖国すんの?
男には大人の”恋愛”なんて無理
男と関係を結ぶには、都合のいい女を押し付けられようが、言い合いになろうが、とにかく逃避させないことが重要です。
恋愛初期の逃避はただ縁が切れるだけで被害は少ないのですが、当たり前ですが逃避されるとお付き合い自体が終わってしまいます。
そして粘り強く女の他者性を受け入れさせるには、やっぱりはじめは幻想を抱いててもらったほうがやりやすいのです。
幻想がないと結婚なんて出来ない
信田さよ子さんも、結婚という決断には恋愛幻想が必要だと言います。
恋愛結婚だとロマンチックラブイデオロギーは必要です。それが何らかの契機をへて、ロマンチックラブイデオロギーを脱していくんです。脱して、空洞化に入り、儀礼家族になるという感じでどうでしょうか。
ロマンチックラブイデオロギーとは、恋愛結婚をして一生浮気しない、という考え方のことです。
女はどうかわかりませんが、男はまだロマンチックラブイデオロギーを信じている人が多いのです。
ただし、自分は女の気持ちなどおかまいなしに性的サービスを利用し、他の女とも遊んでやりたい放題やって、しかし自分の彼女(妻)だけは絶対自分を裏切らないはず、というなんとも都合のいいイデオロギーですが。
これくらい都合のいい想像をしない限り、結婚という人生をかけた契約など怖くて出来ないのです。
裏切られるのが怖くてすぐ逃げる
では結婚が怖いという男は、一体何を恐れているのでしょうか?
こんなにやりたい放題やってきて、結婚は男に得こそあれリスクと呼べるようなものはないと思いますが…。
杉田俊介さんは「非モテの品格」の中でこう語ります。
おそらく僕は、職業や社会的地位、容姿や才能などの、社会的な属性を異性から承認してほしかったのではなかった。存在そのものを無条件に肯定してほしかった。さらに言えば、たぶん、僕の中にある〈男としての弱さ〉をありのままに、性愛的に肯定してほしかったのだ。
引用:非モテの品格(杉田俊介)
つまり、男が女に求めるのは「男としての弱さ」をカラダで受け止めることだと。
無条件の肯定を得たいからと言って、「自分」に対する受容や価値基準を女の手に委ねようとしたら、ものすごく傷つくのは目に見えています。
自我を確立させて「他人は他人」と思えるようになるから、人は自分に対する信念や安心感を得て心の安定を保てるのです。
こんなふうに自分をあいまいにしたままで、相手と自分は思考回路がつながってると勘違いしながら距離をつめて、その関係の中で女に肯定してもらって絶対の安心を得ようなんて思っているから、男にとって恋愛は過剰な期待を抱く半面恐ろしいものになってしまうんです。
おそらくこの杉田俊介さんの言葉をセリフにすると、下のモテキの幸世みたいになってしまう。↓
責任取る訳じゃないなら優しくすんなよ
中途ハンパに同情されても俺ら傷つくだけだから
つまり、
女が取るべき責任→自分を何もかも投げ出すから肯定しろ
中途ハンパに同情すんな→絶対裏切ったり逃げたりするな
ということですね。危険な香りがしませんか?
しかしどんなに約束したって、他人が裏切るなんてことは男が一番よくわかってます。本人に裏切るつもりがなくたって、誰かの期待通りの存在でいるなんてムリだからです。
そこで相手を信じるにはやっぱり神頼みするしかないということになって、「本当の愛」や「本当のあなた/自分」など、ありもしない確からしさ、つまり幻想にすがってゆくのです。
幻想を抱いているから彼は追い詰められるのですが、しかし幻想でも抱いてないと自分がぐじゅぐじゅで、人の顔すらまともに見れないんじゃないでしょうか。
相手を好きじゃなきゃ大事なところで頑張れない
いつまでも傷つきやすい自分しか守れない
得体の知れない女なんかと結婚したくない
おねーちゃんも結婚しちゃって淋しいし…
私も結婚しよっかなあ(中略)
どう思う? 幸世君も行ってみたくない?
今見てきたように幻想を抱く男は、自分をあえて確立させないままあいまいにしておいて、それを女にぶん投げてヨシヨシホメホメしてもらうことでなんとか落ち着きを得ようと思っています。
私は耳がおかしいので「どうにもならないなら力づくで…」というささやきも一緒に聞こえてきてしまうのですが、控えめに言ってもこの人は壊れています。
もしあなたが壊れた人と一緒にいたい、あるいはそういう状況になってしまったら、
- 暴走させないようあやす
- 可能な限り距離を取る
- 幻想を少しずつ壊す
を同時にやっていくしかありません。そうでないと殴られるか、逃げられるか、一緒に地獄に連れていかれてしまいます。
夏樹は幸世の自分に対する幻想を打ち砕きつつ、なんとか関係をつなぎとめることに成功したのですが、タイミングがちょっと早かったですね。
美人だろうが片思いだろうが、幻想を壊してくる女にいくら「一緒にいたい」と言われたところで、「じゃあ結婚しよう」とはとてもじゃないけど思えないのです。幻想を壊すなら、結婚して逃げる道を一つふさいでからじゃないと。
「あなたと一緒にいたい」がすべて
本当は男と女のつながりなんて、しょせん「あなたと一緒にいたい」という意思表示のやりとりにしかすぎないんです。
その合意が一週間続くか数十年続くかわかんないですけど、「本当の愛/あなた/自分」を求めたところで、「あなたと一緒にいたい」とどちらかが思えなくなったらその関係はそれっきりなんです。
どうにもならないけどただ一緒にいるのが大人
なんで一緒にいたいのか、相手が自分に何を求めているか、いくら想像したって本人以外にはわからないだろうし、わかったところで他人の心を思い通りに操ることも出来ません。
そういうあなた任せのどうにもならなさを受け入れた上で、それでも一緒に定型化された関係の中に入りましょうね、と取り決めするのが大人の”恋愛”だったり”結婚”の実態なのです。
問題はこんな高次元な約束を出来る男はそこらにいない、ということなのです。
まとめ
- 男の幻想はアイデンティティに食い込んでいる
- 幻想を抱かない男はすでに既婚者
- 幻想がないと向き合うことすら出来ない
- こっちを見ている間に少しずつ幻想を壊すことは出来るかも
- 結婚後もモテから逃げられない…