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恋愛における「変わらないオレ」という搾取

意見を言う権利をまるごと否定

意見を言う権利をまるごと否定

こんにちは、蜜です!

  • 付き合いだしてしばらくたつけど、なんか思ってたんと違う
  • 一緒にいると楽しいときもあるけど、きちんと向き合ってくれてる感じがしない

「怒った顔もかわいいよ」ってなんなの?! バカにするのもいい加減にして!! 男の子ってなんであんなにフワフワしてるの?!

うまくいかない恋愛にお悩みのあなたに朗報です! 今夜はわたくし蜜が男心の謎を解き明かすお手伝いをしちゃいますよ♪

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《登場人物》

アイト

アイト

文系学部の3年生。スミレの英語のクラスの生徒。うさぎのムスタッシュは心の友。
ムスタッシュ

ムスタッシュ

美脚が自慢のスーパーバニー。チャームポイントは小洒落たひげ。

アイト「はぁ…」

アイト「はぁ…」

女心って難しい…
今回はもうちょっと続くと思ってたのに。

ムスタッシュ

ため息なんてついちゃって、また鏡で生え際見てるのかい? アイト。

アイト

僕がいつも生え際ばっか見てるみたいに言わないでよ、ミスター・ムスタッシュ! 実は昨日彼女とケンカしちゃってね。「アイトが何考えてんのかわかんない。もう終わりにしよ」って、ラインも未読のまんまなんだ。

ムスタッシュ

ヤるばっかじゃなくて、きちんと会話してたかい?

アイト

ちょ、言い方! …ちゃんと話してたって。髪型とか服とかマメに褒めてたし、ケンカになったときだって「怒った顔もかわいいよ」って褒めて、なんとかなだめようとしたんだけど…

ムスタッシュ

原因それだわ。「怒った顔もかわいいよ」なんて相手をバカにするにもほどがある

アイト

え? なんで?! オレは怒った君の顔もかわいくて好きだよって、オレの広くて深い愛を伝えたつもりだけど?!

ムスタッシュ

彼女が欲しいのは、うわっつらな褒め言葉じゃなくて、もっと本質的なものだよ。アイトの行動や意識が自分に合わせて変わること、つまり自分専用にカスタマイズされたアイトを望んでる

アイト

はは、ちょま。カスタマイズってオレが? いくら彼女でもそんなのわがままじゃない? サイコパス?(※ちょま=ちょっと待って)

ムスタッシュ

まったくアイトはベビーだナァ。彼女が一生懸命自己主張するのは、君と一つにメルトダウンしたいからじゃないか! 恋はメルティン…ッ! メルティンラブ!!(むしゃあ…)

意味わかんな… あ!
話の最中に食糞しないで、ムスタッシュ!

「怒った顔もかわいいよ」に隠された彼の本音

「付き合う」とは契約を結ぶこと

ここで皆さんに質問です。なぜアイトくんは、彼女を怒らせてしまったのでしょうか?

本題に入る前に、そもそも「付き合う」とはどんな状態を指すのか確認しておきたいと思います。恋愛関係にはさまざまな段階や形態があるので一言で言い切ってしまうと語弊があるかも知れませんが、おおむね以下のような条件を満たしたカップルを、世間一般には「付き合」っていると認識するのではないでしょうか。

「付き合う」とは契約を結ぶこと

  • パートナー以外と性的関係を結ばない
  • お金や時間など、自分のリソースの一部をパートナーと共有する

たとえばこの逆を考えてみると、彼(女)以外の人とも自由にデートする人や、付き合ってるのにデートをしないなど二人の時間を定期的に持とうとしない人たちを、私たちはカップルとなかなか認めないと思います。

つまり誰かと付き合うということは、他の人と性交渉することを互いに禁止して、貴重な時間やお金の一部を二人のために使い、定期的に会ったりプレゼントを贈り合うなど一緒にしていきましょうね、という取り決めをすることなのです。

もちろんお金や時間だけでなく、相手の好みや感情を理解する努力も必要ですし、時には相手に合わせて自分の気持ちを抑えなければならないこともあるでしょう。また、これらの約束事を破れば、お付き合いを解消しなければならないだけでなく、最悪の場合訴訟や殺人事件に発展することもよくある話です。このように恋愛とは、身近な約束ながら実は結構厳しい契約なわけです。

「意見を言う権利」を否定する

 さきほどの会話のアイトくんが彼女を怒らせた理由とは、関係に対する彼女の投資を軽く見て、意見を聞くべき対等な契約の相手とみなさない態度をとっていたからなのです。「怒った顔もかわいいよ」という一見褒め言葉にも聞こえるこのセリフは、場合によっては、相手が意見を言うことそのものを否定し、取るに足らない存在だと思い知らせる効果を持ちます。

 

意見を言う権利をまるごと否定

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恋愛の本質は支配

自分自身を軽んじることで辻褄を合わせる

他の人と付き合う選択肢もある中でたった一人に身も心も尽くして、なのに自分の意見が十分に聞き入れられないとしたら、人は自尊心が傷ついてしまいます。また、かけた気持ちや時間、お金に対して相手から妥当な見返りが得られないと、「自分の意見は聞くに値しないのでは?」「自分は人に愛される条件を満たしていないのかも…」「自分の話し方や態度には問題があるのでは?」など、自分自身の在り方に疑いを向けることでつじつまを合わせてしまう人もいます。

どちらか一方の意見ばかりが優先される関係というのは、我慢する側に大きな負担がかかります。出資しているのが肉体や時間といった人間そのものであるだけに、恋愛において意見をきちんと聞いてもらえないことは、人としての尊厳を踏みにじられていると感じやすいのです。

人と付き合うというのは、自分の人生に他人を一人抱え込むということですから、責任も重くて時間も手間もかかるし、とにかくわずらわしいことなのです。

相手に影響を及ぼすことで満足を得られる

では、そんなめんどくさい恋愛に取り組んでみようという人がいるとして、相手を尊重して意見を真剣に聞くとは一体どのようなことを指すのでしょうか?

どうやらうわべだけ同意すればよいわけではなさそうです。けれど恋愛のために自分の意見を投げ捨てて相手の言うことを呑まなければならないのなら、いっそ誰とも付き合わないほうが何倍かマシに違いありません。

人が恋愛から得られるメリットがあるとすれば、他人と肉体の使用権や時間、モノなどを交換したり共有したりして、共同で互いの利益を増やすことにあるはずです。ここでいう利益には、性的な喜びや信頼できる人と過ごす安心感や楽しさ、そして好きな人に自分の意見を聞いてもらって、自分が相手に与える影響力を確かめることも含まれます。

個人的には、恋愛を恋愛たらしめる一番の条件は、最後に挙げた「自分が相手に特別な影響を与えていて、お互いが本質的に変化していると感じられること」ではないかと思っています。なぜならその他は金銭を介した性的サービスや、家族や仲の良い友達でも代替できるからです。

恋愛が人間関係の中でも特別な意味を持つのは、その本質に他者への肉体的、精神的支配が少なからず含まれているからです。相手と自分を二人だけの閉じた世界に拘束し、互いの体と心を独占的に支配しあうから、恋愛はかくもロマンチックで狂気と暴力の香りがするのです。