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※「男は、女を3割以上に増やしたくない -「できる女性の出世」を邪魔するものの正体【1】」)(2013/07/30 )President Onlineを参考に作成。
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目次
約9割の女性が「管理職になりたくない」と回答
女が男社会で出世しづらく働きにくい原因として、出産で一旦キャリアを中断してしまうと出世コースから外されてしまうこと、女というだけで性的対象に見られて仲間として扱ってもらえないこと、意見や手柄を男の同僚や上司に横取りされてしまうことなどの環境の問題が挙げられると思います。
しかし、もし仮に時短勤務で仕事と家庭の両立が出来るようになり、表向きセクハラをする男性が消えて今挙げた問題の大部分が解決しても、やっぱり管理職になるのはちょっと…と考える女性は多いのではないかと思うのですよね。
上のグラフは愛媛銀行の調査部門、ひめぎん情報センターが2019年9月上旬、支店を訪れた仕事を持つ女性471人を対象に実施したアンケートの結果です。
なんと9割近くの女性が、「管理職になりたいか」という質問に対し、「なりたくない」と答えたそうなのです。
①業務負担・責任の重さ
②家庭やプライベート重視
③ストレスの増加
④出世に興味がない
⑤業務量と給料が見合わない
男の人なんて昇進するために働いてるみたいな人が多いのに、性別が変わっただけでここまで出世への意欲が減退してしまうなんて不思議ですよね。
昇進したら賃金もやりがいも増えて、仕事が楽しくなってきそうなのに。
女性全体の労働環境をよくするためにも、ぜひ多くの女性に管理職になって欲しいところです。
管理職になりたがらない理由
なぜ9割もの女性が、管理職への昇進を嫌がるのでしょうか。
このうち①②⑤の、管理職の長時間労働や仕事量に見合わない賃金への不満に関しては、企業側が本気で取り組めばなんとかなりそうですよね。
経営陣に、女性を本気で活用する気がないことが問題。
また③のストレスの増加も先ほどと同様に、女性上司の割合を増やすよう企業側が努力すれば、解消される可能性が大きそうですね。
「女の上司は感情的でイヤだ」とか「発言する女は生意気だ」などのいわれのない悪口は女性上司のストレスの原因となりますが、これも数が増えて女上司の存在が当たり前になってしまえば、言う人が激減するし言いづらくなると思います。
実は、「女性が管理職になりたくない理由」の中で最も厄介で根が深そうだなぁと思うのは、④の「出世に興味がない」なのですよね~。
長時間労働とか責務の重さなんかより、「管理職の仕事、意味わかんない。やりたくない」って思うことのほうがずっとずっと、深刻な問題である気がするのです。
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管理職のおじさんの政治ごっこ?
下はプレジデントオンラインの匿名インタビューに応じた、大手保険会社の人事部(30代後半)の男性の発言の一部なのですが。
管理職のおじさんたちがやっていることは、マネジメントじゃなくて政治ごっこだから。
斉藤さんが言うように、おじさんたちの最大の関心は社内人事で、『本当の花形部署はどこか』『やつは出世コースから外れた』みたいな話をするのがマネジメントだと勘違いしている。
顧客や部下の顔なんて見てない。
仕事ができる女性ほどバカらしくて仲間に入る気になれないのは当然だよ。(略)
役員会で大事なのは、議論の中身なんかじゃない。
『誰が何を言ってそれを誰がどう受け止めたか』がすべて。
引用:「男は、女を3割以上に増やしたくない -「できる女性の出世」を邪魔するものの正体【1】」(2013/07/30)President Online
この人事部の男性は、仕事ができる女性ほど管理職のおじさんの政治ごっこがバカらしくて嫌になるだろう、と言っています。
そして、政治ごっこをうまくやってのけるのに大切なのは、「誰が何を言ってそれを誰がどう受け止めたか」に目を配ることだと。
つまり管理職になったら参加しなきゃならない政治ごっこって、
本筋の業務とあんまり関係ない土俵で、声のでかい奴が勝つゲーム
のことなのです。
男が集まれば始まる、あの攻撃的で中身のないマウンティング合戦に加わるなんて、女性は結構金もらってもイヤって人が多いそうだと思うのです。
従業員が少ない会社や、創業して間もないベンチャー企業などだったら、風通しが良くて女性上司をすんなり受け入れる土壌があるかも知れませんが、ある程度の規模の会社には、まだまだおっさん政治が横行してるとこが多いのでしょうね。
フワッと難癖つけて最終的に「使えない」認定
能力や業績、人望などの納得感のある指標で測られるゲームなら、じゃあ一丁参加してみようか、と腕まくりする姐さんもいっぱいいると思うんですよ。
けど、そうじゃないみたいなんですよね。このへんが今回話したい、組織のガンの部分です。
たとえば下は男性上司が女性部下に求めることのアンケートなんですけど、男性が出世の条件として部下に求めることって、なんかもっとフワッとしてるのです。
※「男性上司は女性の部下が苦手? 500人ネット調査 使いやすい部下は「男性」36.3%、「女性」4.5%」(2014/4/19)NIKKEI STYLEより
上のグラフを見ると、男性上司は女性部下の能力やコミュ力、細やかな配慮を高く評価しながら、リーダーシップや昇進昇格への意欲、チャレンジ精神に欠けてると言うんですよね。
これの何がフワッとしててわからないかと言うと、コミュ力高くて細やかな配慮できると言いながら「でもリーダーの適性ないよね」って言うなら、じゃリーダーシップってなんなんだって話になってくるんですよ。
普通に考えたらコミュ力と配慮って、リーダーシップにめちゃくちゃ重要な要素じゃないですか。
それ評価できないって、おじさんたちがリーダーシップの意味を取り違えてる可能性が漂ってくるんですよね。
また、能力が高いと言いながら、「でも昇進昇格への意欲ないよね」って言うなんて、人をなんだと思ってんだって思いません?
能力が高いのは当然努力してるからだし、いい仕事を回して欲しかったり、給料上げて欲しいから頑張ってるに決まってるじゃないですか!!
能力の高い人が昇進したがらない職場って、何か厄介な問題を抱えてるんだと思うんです。
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男の競争イミフだから参加したくないィイッ
男性上司のアンケート結果を見ても、なんかそれっぽいこと言ってそうで的を得ないいつもの感じが溢れてるわけです。
たとえば下のコマは、入社1年目の主人公・宮本くんが、仕事でうまくいかないことを嘆くシーンなのですが。
たぶん男が政治ごっこで求めているものの核に近いかな、と思って持ってきました。
だって なんか!! なんか俺は!!
でっかい事がしたいんだよー ちくしょお!!
これは私が男の人の話を聞いていて感じることでもあるのですが、将来や仕事について話すとき、なんかフワッと「大きなことをしたい」とか語る人がいるんですよね。
女性と仕事の話をすると大体、苦手な人がいるだとか、何才までに子供/資格が欲しいだとか、でも職場の立地はいいだとか、いつもめちゃくちゃ具体的ですが、男の人はいっつもフワッとしてんですわ。正直何言ってるかわからない。
もう一つ、このセリフとか。
俺がカッコいいと思ってるものを
そうじゃないって言う人間に認めさせたいです 以上!!
男にゃモテるな
これって、「価値観の違う人に自分の意見を強引に押し付けたい」ってことだと思うんですけど、
上のアンケートで男性上司がリーダーシップって呼んでいるものって、この宮本くんみたいな空虚な押しの強さなんじゃないかって気がするんですよね~。
この戦いに乗り出そうと思っても、女はなかなか賛同も理解も出来ないし、やる気が出なくて当然だと思うんですよ。
むしろ女の人は、こんなこと真顔で言ってる男を目の前にしたら、「真面目に生きろ」って頭はたきたくなるんじゃないでしょうか。
だって宮本くんの主張する、「漠然と人の注目を集めたい」「価値観違う人に無理強いしたい」って特に目的はないのだし、巻き込まれた方はいい迷惑ですよね。幼児かよ。
それで採算取れてればまだいいですけど、やんなきゃならない仕事は他の人に押し付けて、自分は意地の張り合いに熱中するわけでしょう?
男同士でブラックホールみたいに底なしの権力への欲求を表現し合って、誰が一番しぶとくて、誰が一番犠牲を払ってるかを競うなんて、もう誰も得しないヤツじゃないですか…。
男性上司が女性を使いたがらないのって、こういう価値観が共有できないから、というのが一番の理由な気がするのです。
空虚な理想に酔って男同士一体感感じて惚れ合いたいのに、女は醒めた目で「現実見ろ」って言いそうだから、仲間にしたくないんじゃないですかね…?
現リーダーの実力
今立てた仮説をちょっとここでまとめると、
- 女が管理職になりたがらないのは、男の権力ゲームが理解不能というのも一因
- 一部のおじさんたちはリーダーシップを、意地の張り合いに勝つ能力と誤解している
- 男が空虚な意地の張り合いばかりで生産性が低いことを見透かされるのが怖くて、女を使いたがらない
これらをもう少し検証するために、ノンフィクション作家の高橋秀実氏の文章をご紹介したいと思います。
取材のためによくインタビューするという彼は、地位ある立場の男性の話し方についてこう語ります。
私か質問をすると、男は自分が知っていること、あるいは「自分は知っている」ということを語りたがる。
しかし、往々にしてそれは私の聞きたいことではない。
それに知っていることというのも大抵は私も知っていることで、たとえ知らなくても、それはどうでもよいことなのである。
だったら最初から男に訊かなければよいのだが、日本はいまだ男社会で、責任ある立場の人にお話をうかがおうとすると、大概相手は男になる。
責任ある立場の男性、というと、会社や職場のリーダーですよね。
そして彼らはインタビューされても質問には答えずに、「オレオレオレ有能!! ね、有能!!! ぱおおおおおーーーーん!!!」といつものアレをやっていると。
たぶん彼らは空虚な自分語りが上手だから出世して、そして他の男性はこの強引さに一目置いて(脇に追いやられて)るってことなんでしょうか。
これを仕事と呼ぶのなら、本当会社行きたくねぇってなりますよね…。
自我が拡張するままにわがまま言うのが業務なら、セクハラもパワハラも業務になっちゃうだろ。
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フワッとしてて心地いい男社会
一方、高橋氏は男社会のこのフワッと感が心地いいと言うのです。
確かに男へのインタビューは埒が明かないが、安心ではある。
女性にインタビューする時は相手にすべてを見透かされているようで緊張するが、男の目は基本的に節穴なので安心。
節穴同士の安堵感に包まれるわけで、つまり男たちは埒が明かないように「社会」をつくってきたということなのだろうか。
下の人間が粛々と必要な業務をこなす一方、リーダーたちは会社の利益を元手に意地の張り合いを繰り返し、「あ~、気持ちぃ! 心地いぃ!」と生ぬるい権力ゲームに明け暮れていると。
もう会社なんて害でしかないから解体しちゃえよって、思いたくもなりますよね。
そこで高橋氏のパートナーの女性が、またいかしたこと言うんですよね。
「男は『社会人』とか言うでしょ。社会性とか、社会の中で生きているとか。はっきり言って、社会なんてなくてもいいのよ」
ほんこれ~!!!
子育てや家事を無賃労働と貶めて、基幹業務は非正規に安ーく押し付けて、自分らは人の金でイキリごっこして「社会で頑張ってるオレ!!偉い!!」ってどうかしちゃってますよね。
女は自信を取り戻して管理職にバンバンなって欲しい
男性上司が女性部下はアレだから採りたくないって言ってるの聞いたら、女は悲しくなっちゃうと思うんですけど。
今見てきたように、もしかしたら組織や会社に根本的な問題があるから女性が入ってきたら困るのであって、決して女の能力や人格が劣るからじゃないのですよね。
むしろ優秀でまともなこと言うから、邪険にされるし登用されないという可能性すらあって。
女の管理職が増えれば増えるほど、全体的に労働時間が短縮されて、かえって生産性は上がると思います。
たとえば宮本くんみたいに、上司と深夜までつるんで、会社の外で仕事を進める習慣はすごく迷惑。
仲良しグループで寄り集まって公私混同しながら仕事されると、ここに入れない人はまともに働けないですよ。
うまくいかないことにだだこねてるんじゃなくて
中途半端で終わることにだだこねてんです
このまま終わったら俺きっとがんばったってことで満足しちゃいます
そんなもんクソくらえです
俺は結果をかみしめたいんです
勝ちでも負けでも
宮本くんが進めたい仕事は、もはや会社の利益にならないのですけど、上司数人とサウナで我慢大会の末、「男」を認められて許可を取るのです。
そして上のセリフ、意味わかりますか?
利益にならない、競争にも勝てないかもしれない、でもオレの気持ちを満足させたいからやらせてくれってデタラメ言って、それに上司は心を動かされちゃうんですよ。
このマンガは1990年スタートですから、今から30年も前の悪しき慣行をうつしとってるんですが、2019年秋にまた映画化されました。
レビュー読むと、宮本くんの行動に共感しちゃう人が山ほどいるんですわ!!!
すげぇ怖い…時代は退行してしまうんでしょうか?
それともバックラッシュ?
まとめ
- 9割の女性が管理職になりたがらない
- 男性上司も部下に男を選びたがる
- 仮説:リーダーシップを強引さと勘違いしている
- 仮説:一緒に権力の夢をみれない女は邪魔
- 仮説:女が増えるとムダな”業務”がなくなる
- 男が意地の張り合いしてるから生産性低いのでは