以前記事にしたことがありましたが、男の子を育てる私にとって心配なのは、子どもが犯罪の被害者になることと同時に、加害者になることなのです。
お友達に優しくしようね、人の嫌がることをしてはいけないんだよ、と母親がいくら一生懸命伝えたとしても、テレビや周囲の心ない男性が、息子に「女に関する間違った認識」や「男らしさ」を刷り込んでしまいます。
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目次
親より社会の刷り込みのほうが強い
先日もツイッターで、4才の女の子が同じ園の男の子から痛ましい暴行を受けた、という事件を目にしました。
保護者の方や被害にあった女の子のことを思うと胸が痛むと同時に、小さな男の子にそのような発想を持たせた社会に憤りを感じます。
家でいくら母親が口を酸っぱく諭しても、男の子はある年齢になると仲良しの同性や、物語のキャラクターの価値観を重視するようになってしまいます。
もちろん、それは健全な心の成長が出来ているということなので、親としては巣立ちつつあるわが子を見て喜ばしいと思うのですが…。
けれど、同時によくない「男らしさ」も吸収してしまうのですよね。
私は映画やテレビを見るたび、「女はバカじゃない」「加害したらタダじゃ済まない」「体のことを冗談にされたら嫌でしょう?この表現は嘘」と子供にうるさく伝えるのですが、とにかく若い女を異世界の住人のように描く作品がすごく!多い!です!!!
テレビを禁止にするのは古典的な方法ですけど、情報源は看板なりネットなりいくらでもあるのであまり意味があるとも思えず、
また、アニメやゲームを極端に制限すると、友だちと話が合わなくなってしまいそうで、それはそれで問題な気が。
結局どうしていいかわからず、メディアを通じて女性を軽んじる文化に染まっていく息子を、ただただ見守ることしか出来ないのが現状です うーん。
一応、規制できないなら多様な作品に触れさせようと(有害思想を薄めたい)、海外の映画やドラマを出来るだけ多く見せるなどはしています。
性教育の大切さ
今回、幼児の幼児に対する暴行の事件を受けて、小さい子に性教育をすることの大切さを改めて感じました。
ネットは子どもも見るものなのに、ちょっと調べものをしたりゲームをしただけで、すぐ暴力行為や加害ポルノの広告が出てきます。
これだけ「加害は楽しいぞ」「やるのが男だ」みたいなメッセージを巻き散らされると、あとから親が「暴力は犯罪だよ!」と言ってみてもあんまり説得力がない気がします。それでも言いますけどね。
うちの場合は、まず子どもたちに自分の身を守る術を教えたかったので、入園前から性教育をはじめました。
加害者は親戚や肉親、先生など身近な優しい大人の場合が多いので、被害を未然に防ぐためにも早く教えないといけないと思ったからです。
人体各部の名前を伝える際は、「外で禁止用語を叫ぶ男子になるかも」とチラっと心配しましたが大丈夫でした(笑)。
性教育の本はよく出来ていて、他者への尊重や性について、子どもがよく理解できるように作られていました。
むしろ小さい頃から性についてきちんと教えることで、気軽に冗談にしてよいことではないと学んでくれるようです。
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オススメの性教育の本
それでは、子どもにオススメの性教育の本などをご紹介したいと思います。
出来れば小さいうちに買い揃え、理解できる年齢になったらすかさず読ませるのがよいと思っています。
性教育はもはや教育というより、危機管理や防災の領域なので。
とにかくさけんでにげるんだ
対象年齢は5才くらいでしょうか。
性暴力の被害に遭った経験のある方は、読むのが辛いかも知れません。
私は子どものころ色々あって、毎回嗚咽しながら読んでいます。
しかし加害の恐ろしさがわかるからこそ、伝えなければならないと思うのです。
この絵本には、知らない人についていってはいけないことや、優しそうな人や親戚の大人が加害者になるケースがあること、また罰を恐れて被害を隠さなくてよいことなど、大切なことが子供の目線で寄り添うように語られています。
下のページは、親戚のおじさんから加害を受けた女の子・ユカちゃんが、友だちを通じて事実を母親に伝えたシーンです。
「しかるわけないでしょ。ゆかは、ぜんぜんわるくない。
わるいのは、サムおじさんのほうよ!
なにをされたのか、おしえてちょうだい」
性被害が辛いのは、子どもが加害の事実を周囲の大人に言い出せないばかりに、何度も繰り返し虐待を受けてしまうところです。
「あなたはなにも悪くない」
この言葉を、被害を受ける前に一刻も早く子供に伝えなければなりません。(もちろん、被害を受けずに大人になる子が多いと信じたいのですが)
私はこの絵本を読むと、じわーっと癒されるんですよね。
大人として本来すべき対応が、きちんと描かれているからです。
割と↓みたいなひどい対応をされた方って、実際多いと思うのですよね…。私たちの世代は、もうこういうの繰り返してはダメなのです。
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ぼくのはなし
「王さまシリーズ」の和歌山静子さんが作画されています。
性行為について、器官の名称から挿入の様子まで、しっかりぼかさず描かれています。
私はここ↑ちょっと恥ずかしいのですけど、子どもには興味深いようで静かに聞いていました。
何というか、ちょっと厳か(?)な顔をしていましたね。小さくてもちゃんと命に対するリスペクトがあるのだなぁと感心してしまいました。
年齢としては3才とか4才とか、出来るだけ早い時期に読むのがオススメです。
性に対する羞恥心がまだ育っていないうちのほうが、伝えやすいです。
幼いうちにきちんと伝えてしまえば、のちに大きくなってポルノの存在を知ったあとでも、親と冷静に話が出来ます。
子どものプライバシーは大切ですが、やはり性についてはオープンに話せる環境づくりが必要かなと思います。
親がきちんと教えておかないと、学校は性教育に熱心ではないので、子どもが「性=ポルノ=加害」だと思い込んでしまう可能性があるのですよ! ひ~
ふたりのはなし
先ほどご紹介した、「ぼくのはなし」と同じく「おかあさんとみる性の本」シリーズの中の一冊です。
実はこの本は図書館で借りただけなのでうろ覚えなのですが、なぜ人間がつがうのか、神話をもとに説明されていて、小さな子にはわかりやすいと思いました。
昔、人間は背中と背中がくっついた二人で一つの生き物だったけど、神の怒りに触れて真っ二つに引き裂かれたから、片割れを探すようになったんだ、みたいな話です。
私は同じ題材を歌った、ミュージカル映画ヘドウィグ・ウィズ・アングリー・インチの「愛の起源」のほうが好きなので、こちらの動画も見せました。
The Origin Of Love-Hedwig And The Angry Inch↓
英語ですけどアニメなので見ていれば内容はわかりますし、ネット上に翻訳もあるのでそちらを読んで説明してあげても良いと思います。
巨人のペアには男女、男同士、女同士の3種類があると描かれるので、子どもに「相手は異性でなくてもいいんだよ」と伝えるきっかけにもなります。
ただ、子どもたちはゼウスやトールを怖がっていましたね。確かに絵がちょっと不気味でしょうか。
しかしこれを見せて何年かして、神話全般に興味を持つようになったので、子どもの興味の幅を広げるという点でも良かったかも知れません。
性の多様性を教えるにもよい動画だと思いますし、また性教育と関係なく神話って面白いのでオススメです。
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メグさんの女の子・男の子からだBOOK
小学校1年生~が対象でしょうか。幼稚園児には字が少し小さいですね。
性行為にはあまり言及せず、男女の体の仕組みや妊娠・出産についての説明がメインです。
外から見た女性の外陰部のイラストが載っているところがいいなぁと思いました。
人体の図鑑などにも載ってないのですよね。男性のはあるのに。
私たちの体はポルノではないし、女の子の自己管理に必要な知識でもあるのですから、きちんと図鑑に載せて欲しいし、学校でもちゃんと教えて欲しいですけどね。
本の後半は、保護者向けのQ&A集になっています。
これがすごくいい!
たとえば、
「なぜプライベートパーツは子どもが自分で洗わなければならないの? 小さいうちは、親が洗ってあげてもよいのでは?」
という問いに対し、メグさんは
「小さいうちから洗い方を教えて、自分でケア出来るようにしなければいけません。ほかの人が触ってもいいのだと、子どもが理解してしまうからです」
と答えます。
私は目からウロコでした! 「早くして!」とか言いながら、全身洗っちゃうところでした!
確かに、プライベートパーツに親が触ることが当たり前になってしまうと、信頼できる相手には触られてもよいのだと、子どもはきっと勘違いしてしまいますよね。
誰であっても触ることを許してはならないのだと、本当に小さいうちから教えることが子供の身を守ることにつながるのだと、この本を通じて改めて理解しました。
また、子どもが自分の体の正確な名称を知っていると、犯人は寸でのところで加害をやめるのだそうです。
なぜなら、きちんと性教育を受けている子は、変なことがあればすぐ親に報告する子であり、しかも被害を正確に伝えることが出来るので事件が発覚しやすいからです。
ぜひとも一家に一冊!
メグさんの男の子のからだとこころQ&A
こちらもメグさんの本ですが、今度は思春期の男の子向けです。
ところどころにフリガナが振ってあるので、対象年齢は10才くらい~でしょうか。
子どもに手渡してもいいし、少し一緒に読んであげてもいいですね。
私は初めのページの図などを一緒に見たあと、「ここに置いておくね」と言ってリビングの本棚にしまいました。
読んでみて、思春期の男の子に知っておいて欲しい知識がだいたい網羅されていると思いました。
心や体の変化の理由や対処法、女の子との付き合い方や性犯罪への注意喚起、ポルノや性暴力、同性からのからかいや差別に対するQ&Aなど、大切なことがぎっしりきちんと書かれています。
子どもが思春期にさしかかったら、いつでも疑問が解消できるように目立つところに置いておいてあげるとよいと思います。
マンガでわかるオトコの子の「性 」
小学校高学年になったら、子どもが気が付くところに置いておいてあげるとよいと思います。しっかりフリガナが振ってあります。
一応私は、「大切なことが書いてあるから、読むようにね」と伝えました。
堅すぎずくだけすぎず、たぶん10代の子にも読みやすいと思います。私は普通に面白かったです。
著者は性教育の普及に尽力しているNPO法人ピルコンの染矢明日香さんで、マンガは同じ大学の公認会計士のみすこそさんという方が描いているそうです。
避妊や妊娠・出産についての知識はもちろん、性的合意の重要性やポルノとの距離の取り方にも触れています。
思春期の男の子のリアルな生活に寄り添った内容。
また、セクシャルマイノリティについての説明も詳しく、安易にジョークにして差別に加担してはならないことや、性にはそもそも多様性があるのだと書かれています。
経口避妊薬や月経、感染症についての説明もしっかりされており、女の子が読んでもよさそうですね。
SNSにプライベートな写真を上げることの危険性が書いてあって、今どきだなと思いました。
確かに今の子はSNSが身近だから、うっかり恥ずかしい写真をネットに出してしまうリスクがあるんだったな…とヒヤッとしました。
でも「やばい写真をアップしちゃダメだよ」って親が子どもに伝える機会って、日常ではそうそうないですからね!
性暴力についても、痴漢やのぞき、ストーカーやDV、児童ポルノまで網羅的な説明がされています。
それらすべてが犯罪であり、被害者は悪くないこと、落ち度を責めるのは間違いであることまで、ちゃんと書かれています。
10代の男の子にはぜひ知っておいて欲しいことばかりだし、むしろこのような知識が必要なのは成人男性のほうですけどね。
まとめ
- 加害を防ぐには、まず「触らせてはダメ」
- 性教育は、人を尊重する方法を教えること
- 男の子に自分の体の大切さや繊細さを教えることが大切
- 性に関する知識をポルノで学ばせてはいけない
- 学校の性教育は十分ではない