インドのITエンジニアはインドの中でもエリートという話

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

日本のIT企業だと、お金を払ってくれるお客さんはアメリカ企業だけど、実際の開発や保守はインドの下請け業者に任せているという現場は多いですよね。私もインドのエンジニアとやり取りすることが多いので、人気映画のRRRバーフバリを観たりして彼らの文化や考え方を学んでいます。

インドのITエンジニアはエリート集団

うさぎ
うさぎ

もともとインドはカースト制度のせいで職業を自由に選べなくて、でもITは昔なかった仕事。誰でもチャレンジすることが出来たから、チャンスを掴みたい人たちが殺到して繁栄したって聞いたよ。

蜜

それがどうも実際はちょっと違うみたいなんだよね。

映画RRRをみてインド社会についてもっと知りたくなった私は、インドのカースト制度に焦点を当てたルポ、インド残酷物語を読んでみることにしました。

わかったのはインドの社会はいまだ貧富の差が激しく、もし恵まれないクラスに生まれると自分の努力だけで這い上がることが極めて困難だということ。識字率が8割に満たないインドでは、高度な知識を要求されるITの仕事はエリートに独占されているようでした。(日本は識字率ほぼ100%)

二〇〇〇年代半ばに行われたインドのシリコンバレーと呼ばれる南インド・ベンガルール市で働くソフトウェア技術者に関する調査(Carol Upadhya, Employment, Exclusion and ‘Merit’ in the Indian IT Industry, Economic and Political Weekly, Vol.42, No.20, 2007) では、一三二人の技術者の出身カーストを聞いたところ、四八%が最上位カーストのバラモンで、先進カーストとも呼ばれる「再生族(バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ)」は実に七一%にも上った。

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書)
うさぎ
うさぎ

IT技術者の7割が上位カースト出身の人たちなんだね。インドのIT業界に対する自由で開放的なイメージが壊された。

インドの英語話者はたったの1割

それから意外だったのは、インドの英語話者の少なさ。インドのIT業界で高収入を得るには英語が必須。イギリスの植民地にされていたので、少なくとも人口の半分くらいは英語でコミュニケーションが取れるのかと思っていました。

しかし、調べてみると実は英語が話せる人は全体のたったの1割しかいなかったのです。

インドにおける英語話者は、2011年インド国勢調査によれば人口の10.6%、数でいえば1億3千万人に上ります。ということは、インドはアメリカ合衆国に次いで、英語話者の数が世界で二番目に多い国なのです。 

インド英語|神田外語大学 × 東京外国語大学 英語モジュール
蜜

人口が14億人もいるからたくさんいるように見えるけど、英語話者の割合は日本とおなじく1割くらい。

英語話者というハードルをクリアするだけでも、かなりハードルが高いことがわかりました。

親ガチャ、そして大卒は8%

また、IT企業に就職するにはコンピューターサイエンスの学位を持っていることが世界的には一般的かと思いますが(日本が特殊)、そのハードルもまた非常に高いのです。インドの大卒者の割合はまだ低くて、全体でも8%強。

親の学歴では父親の八〇%、母親の五六%が大卒以上。技術者の三六%がインドの五大都市(デリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、ベンガルール) 出身で、二九%がマイスールやプネーのような二級(tier two) と呼ばれる都市の出身であった(最近はプネーもハイデラバードなどとともに人口五〇〇万以上の一級都市に含まれる)。農村出身者はわずか五%であった。南インドではバラモンの人口比はせいぜい三~四%、「再生族」を合計しても一〇%程度である。また二〇一一年の国勢調査によると、インドの大学卒業者は八・一五%に過ぎない。そしてインド人の六五%がいまだに農村に住んでいる。  これだけみても、ソフトウェア技術者が高カースト・高学歴の親を持ち、大都市で生まれ育った、非常に限定された特定の集団から輩出されていることが分かる。

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書)
うさぎ
うさぎ

インドの都心には学校、商業施設、外資系企業が揃った特殊な区画があって、そこからほとんど出ないで暮らしているお金持ちも結構いるんだってね。

蜜

グローバル化で格差が広がる悪いお手本の代表みたいな話だね。

埋まらない両者の溝

大学進学者の出身がバラモンなど先進カーストにかたよっていることを受けて、政府は経済的に不利なカースト出身の学生を積極的に受け入れるアファーマティブアクションを推進。すると、なんと上位カーストの学生が猛抗議。

留保制度の拡張が導入されることになった時、特に高カーストの学生たちは自分たちの権利が侵害されるとして猛反対し、デリー大学の学生が抗議のために焼身自殺をはかった(本人は 大 火傷 を負い、一四年後に死亡) ことをきっかけに、多くの学生の自殺が続いた。

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書)
蜜

自分がゲタ履かせてもらってるからこそ、有利な立場でいられるんだって本人もよくわかってるんだね。

ITの恩恵を受けたのは上の中のカーストの人

結局、IT産業に参入しているのは、エリートの中間層の人たちとのこと。低カーストの人は生活環境も悪く、親が字も読めないことも多くて学びへのアクセスが困難です。せっかく勉強が出来たとしてもエリートからは嫌がらせを受けるし、スタートラインがまったく平等ではありません。

一方で、アメリカなどからの下請けという側面があることは否めないとはいえ、IT産業に職を得ればインド人の平均収入の何倍あるいは何十倍にもなる給与を得ることができる。二〇〇〇年代には郵便局長の娘さんがコールセンターで働き出し、初めての給与が父親の給与の四、五倍だったというような話をよく聞いた。つまり高カースト出身者が、留保制度によってそれまで享受してきたホワイト・カラーの職を得にくくなったとしても、自由主義経済の拡張によってより良い職が用意されていたわけである。公立学校の教師や大学教員、公務員の給与は二〇一〇年代以降徐々に上昇し、IT産業の技術者との差は縮まりつつあるが、それでも後者の方が依然として圧倒的に高額である。自由主義経済の恩恵を最も直接に受けたのは、高学歴・高カーストの中間層なのである。

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書)
うさぎ
うさぎ

とはいえITエンジニアになれば平均収入の何十倍もの給料がもらえるんだから、インディアンドリームであることは確か。

蜜

そもそもエリートしか挑戦できないみたいだけどね。

学歴を手に入れてもコネがなきゃ

あまたの苦労を乗り越えて大学を卒業しても、コネがないとIT企業には入れないんだそう。そんな社会じゃ真面目に頑張ろうという気が薄れてきそうです。だからか、インド映画では遵法意識が薄くて世渡りがうまく頭が切れるタイプの主人公がよく登場します。

例えばIT産業では就職の時に同業者からの推薦状が必要とされるが、IT産業に知り合いのいないダリトや低カーストの出身者は、学歴や成績が十分であったとしても、それを準備することは難しい。

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書)

不平等が当たり前で法律も会社も自分を守ってくれないから、インド人はルールではなく人を見て出方を変えることが多いんですね。ラクできたり責任逃れできそうだったら平気で嘘もつくしマニュアルは確認してくれないし、そもそもできるだけ働かないように知恵を絞っている印象があります。

蜜

そういうインド人を見てると賢いなって思う。日本人はお客様の言う事をなるべく聞き入れて、つい値段以上のサービスを提供しようとしてしまいがち。だけど、どこかで線引しないと現場は疲弊しちゃうよね。

まとめ

インドのエンジニアはおっとりと優しい感じの人が多く、日本人の同僚と比べて女性を軽視する発言が少ないと感じていました。文化の違いなのかと始めは思っていたのですが、本や映画をいくつか見た限り、どうやらこれは彼らが富裕層だからなのだと思います。おぼっちゃんお嬢ちゃんが多いそうなので、たぶん会話の仕方が上品なだけ。

まとめ
  • インドでITエンジニアになるのは狭き門。
  • インドの英語話者の割合は日本と同じくらい。
  • インドのITエンジニアがおっとりとして優しいのは、たぶんお金持ちの家庭出身だから。

【ご協力のお願い】

コンテンツ制作にはAmazonのPA APIが必要です。今Amazonで見たい商品がある人は、ぜひこちらのリンクから入ってください。いつも通りお買い物していただくだけで、このサイトが商品画像を表示できるようになります。

いつもご支援ありがとうございます。